相反則と相反則不軌
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/11 19:34 UTC 版)
写真の感光量は光の量(単位時間あたりの光の量×光が当たった時間)によって基本的に決まる。これを相反則(ソウハンソク)という。ただし、感光量は入射した光の量にどこまでも比例するのではない。未露光部はベースフィルム以上淡色にはならないし、感光するハロゲン化銀は限られているから一定以上の光を当ててもそれ以上濃くならない。したがって、光の入射量と画像の濃さをグラフにするとシグモイド関数のようになる。変化の中間部は直線的であり、この部分の傾きのことをガンマという。 露光時間が極端に短かったり長かったりする場合には、相反則が成立しないことがある。これを相反則不軌という。カラーフィルムでは色ごとに相反則不軌の状態が異なるため、カラーバランスが崩れる問題がある。短いほうは通常のカメラの、数千分の1秒程度では顕在化しないため通常は気にされることはない。一方長い方は、夜間や天体の撮影で問題になる。1977年ごろには長時間露光時の相反則不軌対策や分光感度を調整した天体撮影用のスペクトロスコピック感光材料が市販されていたほどである。なおフィルムの場合、冷却することで長時間露光時の相反則不軌を低減できることが経験的に知られている。 なお、長時間露光においては相反則不軌とはまた別の問題もある。現在利用可能なオプトロニクスによるデジタルカメラでは、画像に熱雑音と製作不良から発生するランダムノイズが乗る。一部のデジタルカメラでは長時間露出する際のノイズを軽減する機能がついている。非常に長い時間露光する場合、ノイズが最終的な画像に影響しないように撮像素子を低温で動作させる必要がある。天文撮影や科学機器では冷却機構が最初から設計に含まれているものもある。
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