相可フードネットとは? わかりやすく解説

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相可フードネット

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/03 23:33 UTC 版)

株式会社相可フードネット
種類 株式会社
略称 せんぱいの店
本社所在地 日本
519-2179
三重県多気郡多気町仁田750
多気クリスタルタウンショッピングセンター
設立 2008年(平成20年)8月20日
業種 小売業
法人番号 3190001011660
事業内容 惣菜弁当調理販売
代表者 社長 小西蔀
資本金 200万円[1]
売上高 8000万円[2](2010年度)
従業員数 27人[2]
支店舗数 2
関係する人物 岸川政之
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株式会社相可フードネット(おうかフードネット)は、三重県多気郡多気町惣菜弁当せんぱいの店を営む企業三重県立相可高等学校の卒業生の雇用の受け皿として設立され、同校出身者が中心に運営している[3]。店名にある「せんぱい」は相可高校在校生に対比したものである[4]

多気町の住民組織「まちづくり仕掛け人塾」の提案により設立され[5]、地元企業、多気町、三重大学などの応援に支えられている[3]

概要

相可高校と多気町役場農林商工科の協力により設立された企業で[6]、社長は相可高校卒業生の小西蔀(こにし しとみ)[7]。社員には相可高校卒業生で、高校生が運営するレストランまごの店」の初代メンバーが2名いる[7]。20歳代の若い従業員はすべて相可高校の卒業生で、50歳代・60歳代の従業員が20歳代を支えている[8]

相可フードネットは、地元の人的ネットワークを駆使して設立され、三重県の助成と銀行からの借り入れで設備投資を賄った[8]。会社設立時からの社員である相可高校食物調理科卒業生の2人は友人同士で、それぞれ日本料理店、フランス料理店での勤務経験を持ち、それぞれ和食と洋食を担当する[9]

相可高校の食物調理科の卒業生は女性が多く、結婚して子育て世代になった時に安心して働ける職場としての位置付けもある[10]。また、若い調理スタッフには出せない「おふくろの味」を高齢のスタッフが提供している[10]

地域とのつながり

安心・安全な惣菜の提供を心がけ[7]、多気町の農業生産団体「アグリメイツ」から食材を仕入れている[5]。アグリメイツからの食材供給は1割から2割程度であり、残りは三重県産にこだわっている[8]。将来的には、すべての食材を地元産でまかなうことが目標である[7]

まごの店とは緊密な関係を持っており、まごの店にマスコミが来た時にせんぱいの店を紹介してもらったり、新商品の開発にまごの店のレシピを活用するなどしている[8]

惣菜だけでなく、相可高校生産経済科の生徒が開発した化粧品・「まごころteaハンドジェル」(まごジェル[11])の販売も手掛ける[12]。まごジェルは、地元産伊勢茶と柿の葉のエキスを配合したミカンの香りのするジェルで、多気町職員の岸川政之の発案で開発が始まった[12]。相可フードネットは開発費用として100万円を出資した[13]ほか、在庫管理や苦情への対応などを担当している[12]

沿革

多気町は昔から農業を中心にした町で、多気発祥の伊勢いも、県内一の生産量の次郎柿を始め、シイタケミカン伊勢茶松阪牛といった農産物櫛田川宮川アユの漁獲があり、豊かな食材の産地となっている[5]。また、多気町の地名も「多くの食物ができる土地」という意味の古語「多木」(たき)に由来する説がある[10]。こうした背景を元に、住民組織「多気町有機農業研究会」が発足し、三重県立相可高等学校の生徒が五桂池ふるさと村内に地元食材を使ったレストラン「まごの店」を開き、高校と地域の結び付きができていった[5]

2007年(平成19年)4月、まごの店の開店に尽力した多気町役場職員の岸川政之が、多気町まちづくり仕掛人塾を立ち上げる[14]。同塾は委員がプロジェクトを提案し、出席者の過半数が賛同したプロジェクトを実行するという仕組みを取っており、同年に多気クリスタルタウンの「環境保全ゾーン」の活用整備を任された[15]。この中で地産地消型の店舗の設置案が浮上し、多気クリスタルタウンショッピングセンターに出店しているマックスバリュ多気店がテナントの受け入れに積極的に関わったことで、せんぱいの店設立が現実のものとなった[16]

2008年(平成20年)8月20日、せんぱいの店の開店を前に相可フードネットを設立する[7]。三重県には同じ業態の店舗がなかったため、大阪府の店舗で研修を行い[17]、同年9月18日にせんぱいの店第1号を多気クリスタルタウンショッピングセンター内に出店した[5]。同店は相可高校の卒業生3人を中心に10人で運営を始めた[3]。開店初日には約30品を提供、多忙のために当初予定していただし巻き卵が作れないほどであった[7]

開店からしばらくは手探りでの経営が続いたが、次第に年齢層が高めであることや、鶏の唐揚げが人気であることが明らかになった[17]。ビジネスとして成立させるための利益追求と、設立当初の目的である地域活性化との両立が模索されている[17]。2009年(平成21年)10月にサービス生産性協議会が選定する「ハイ・サービス日本300選」の第7回選定においてまごの店と共に選ばれた[1]

2010年(平成22年)10月には、相可高校生産経済科の生徒6人が地元の製薬会社である万協製薬と共同開発した化粧品「まごころteaハンドジェル」(まごジェル[11])の販売元を引き受けることになった[12]。収益の大半は相可高校に寄付し、生徒の活動資金として使われている[12]

2011年(平成23年)3月には、経済産業省の『ソーシャルビジネス・ケースブック』に相可フードネットを中心とした地域連携の取り組みが紹介された[18]。同書は日本全国で地域活性化に結び付いているソーシャルビジネスの121事例を取り上げたものである[19]

店舗

5店舗が運営中である。

  • マックスバリュ多気店(1号店) - 三重県多気郡多気町仁田750 多気クリスタルタウンショッピングセンター内
店舗面積は66m2[7]グラム単位で販売している[7]。調理場はガラス張りにして、客に調理の様子が見えるようにしている[8]
  • 五桂池ふるさと村店(2号店) - 三重県多気郡多気町五桂936 五桂池ふるさと村内
2010年4月14日開店。
  • 松阪せんぱいの店 駅前食堂(3号店)[20] - 三重県松阪市日野町742-1 駅前通り商店街内
2013年8月30日開店[20]。店内での飲食が可能[20]
  • 伊勢うらのはしコア店(4号店) - 三重県伊勢市常磐2丁目1-11 うらのはしコア内
2014年4月10日開店。
  • 松阪本町店(5号店) - 三重県松阪市本町2166-1 よいほモール商店街内
2014年4月21日開店。

脚注

  1. ^ a b 中部経済産業局産業部サービス産業室"第7回「ハイ・サービス日本300選」選定結果について (PDF) "平成21年10月26日(2012年1月1日閲覧。)
  2. ^ a b 岸川政之"高校生レストランでまちおこし―住民・高校・町役場が地域で連携―"財団法人地域活性化センター、平成23年3月(2011年12月23日閲覧。)
  3. ^ a b c 長谷川順一"エイチあふれる 多気町をめざして"全国町村会(2011年12月23日閲覧。)
  4. ^ 村林新吾"月刊地域づくり 第238号 地域に食文化を発信する高校生レストラン"平成21年4月(2013年1月21日閲覧。)
  5. ^ a b c d e 宮原知沙. “エイチあふれる多気町”. 社団法人地域問題研究所. 2011年12月23日閲覧。
  6. ^ 高校生の活動を軸に進化する地域まるごと活性化モデル”. 経済産業省. 2011年12月26日閲覧。
  7. ^ a b c d e f g h “人気「高校生レストラン」の卒業生が弁当・総菜店「せんぱいの店」開業”. 伊勢志摩経済新聞. (2008年9月19日). http://iseshima.keizai.biz/headline/549/ 2011年12月23日閲覧。 
  8. ^ a b c d e サービス産業生産性協議会”. 公益財団法人日本生産性本部サービス産業生産性協議会事務局. 2012年1月1日閲覧。
  9. ^ MIESC(2009):4ページ
  10. ^ a b c 村林新吾 (平成22-08). “教室から地域へ、高校生のレストラン”. 月刊地域づくり 第254号. 2012年1月6日閲覧。
  11. ^ a b 厚生労働省"『まごジェル』の取り組みについて (PDF) "(2012年1月1日閲覧。)
  12. ^ a b c d e 杉原麻央 (2011年8月8日). “試作重ねたハンドジェル 製薬会社と共同開発 三重・相可高 生産経済科”. 中日新聞社. 2011年12月26日閲覧。
  13. ^ 榊田(2011):15ページ
  14. ^ 総務省"地域人材ネット 地域にある宝を発掘し、まちづくりに結び付ける! (PDF) "(2012年1月1日閲覧。)
  15. ^ 榊田(2011):13 - 14ページ
  16. ^ 榊田(2011):14ページ
  17. ^ a b c MIESC(2009):5ページ
  18. ^ 三重県コミュニティビジネス支援サイト”. 三重県農水商工部商工振興室. 2011年12月26日閲覧。
  19. ^ ソーシャルビジネス・ビジネスブック”. 経済産業省地域経済産業グループ立地環境整備課 (2011年3月14日). 2011年12月26日閲覧。
  20. ^ a b c “相可高OBの「せんぱいの店」三重・松阪に3号店”. 読売新聞. (2013年8月24日). オリジナルの2013年10月10日時点におけるアーカイブ。. https://megalodon.jp/2013-1010-1316-17/www.yomiuri.co.jp/gourmet/news/cooking/20130824-OYT8T00290.htm 2013年10月10日閲覧。 

参考文献

  • 榊田みどり(2011)"「あるものを組み合わせる」のが、地域おこし~三重県多気町の挑戦(後編)"月刊JA(全国農業協同組合中央会).671:13-15.
  • 三重県産業支援センター企画財務・経品グループ(2009)"ふれあいインタビュー Vol.274 株式会社相可フードネット"月刊情報誌MIESC.28:4-5.

関連項目


相可フードネット(せんぱいの店)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 14:48 UTC 版)

マックスバリュ中部」の記事における「相可フードネット(せんぱいの店)」の解説

マックスバリュ多気店多気クリスタルタウン内)が同社出店協力した

※この「相可フードネット(せんぱいの店)」の解説は、「マックスバリュ中部」の解説の一部です。
「相可フードネット(せんぱいの店)」を含む「マックスバリュ中部」の記事については、「マックスバリュ中部」の概要を参照ください。

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