発掘と復元の困難さ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/18 21:45 UTC 版)
「アルディ (アルディピテクス)」の記事における「発掘と復元の困難さ」の解説
アルディの残存状況は良好ではあったが、その化石化は不十分で、そのまま掘り出そうとすると化石自体が崩れてしまう危険性があった。そのため、化石を見つけ次第、周辺の土砂ごと凝固剤で固め、エチオピア国立博物館(英語版)の研究室に持ち込んで慎重な復元作業を行うという手間をかける必要があった(ラヴジョイが実見したのも、この博物館でのことである)。発掘された断片は125点にのぼったが、アルディの実物に触ったことがある研究者は諏訪、ホワイトのほかは、ごくわずかしかいないという。ルーシーの発見者の一人であったドナルド・ジョハンソン(英語版)にしても、公表(後述)直後にエチオピア国立博物館から許可を得るところまでは成功したが、調査チームの共同責任者のベルハネ・アスフォー(英語版)の許可を得られずに実見できなかったという。 特に頭蓋はひどく砕けていたが、前述の理由から実物を使った復元作業ができなかったため、諏訪によってCT技術を使ってコンピュータ画像として復元するという手法がとられた。CTを使った復元という手法には、ポワチエ大学のミシェル・ブリュネ(フランス語版)の影響もあったという。ブリュネは現存最古の化石人骨であるサヘラントロプス・チャデンシス「トゥーマイ」(Toumaï) の発見者であり、諏訪は研究チームを代表し、2001年12月(トゥーマイの分析が『ネイチャー』で公表される約半年前)にブリュネのもとを訪ね、頭蓋骨の実物を前に詳細な専門的議論をかわしていたのである。この縁でブリュネから研究チームに対し、CT技術を使った復元の経過についての紹介があり、そのことが、後にアルディを公表したときの論文のひとつで、アルディとトゥーマイの復元頭蓋骨の比較を行うことにつながったという。
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