症状と検査
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/28 14:06 UTC 版)
神経症状は数時間から数日のうちに出現し、多くは数日以内に極期に達するが、数週から1か月で緩徐に進行することもある。感染症状やワクチン接種の先行は報告によって様々であり、33 - 100%で認められている。先行感染はウイルス感染が多い。感染後またはワクチン接種後2 - 15日で急性に発症する。前駆症状としては全身倦怠感、筋肉痛、感冒様症状が認められることが多い。発熱など全身症状は小児では43 - 52%で認められるが、成人では15%ほどで少ない。症状は頭痛、発熱、項部硬直など、髄膜炎症状をしばしば伴う。大脳、脳幹、小脳、脊髄の病変によって神経脱落症状を示す。 大脳 片麻痺、半盲、失語、痙攣、意識障害など 脳幹 複視や眼球運動障害など 小脳 運動失調、構音障害 脊髄 四肢麻痺、対麻痺、膀胱直腸障害 髄液検査ではADEMでは急性期では細胞数は単核球を中心に増加し (23 - 81%)、蛋白も28 - 60%で上昇する。オリゴクローナルバンドは小児では3 - 29%で、成人例では58%で陽性である。オリゴクローナルバンド持続陽性では、多発性硬化症へ移行する確率が高いとされている。MRIでは皮質下から深部白質にT2WIで高信号域が多発性、比較的対称性に認められるのが典型的である。大脳皮質、視床、基底核などに病変が認められることもある。 ADEMの急性期は、ウイルス性脳炎と慢性期に多発性硬化症との鑑別が重要となる。MRIでのウイルス性脳炎では皮質病変が主であり、白質病変を認めることは少ない。多発性硬化症よりADEMを疑う特徴としては左右差のある両側性白質病変、脳室や脳梁病変が少なく、左右差の少ない視床や基底核も含めた灰白質病変、テント下病変が多いことなどが指摘されている。多発性硬化症と比較して病変の境界は浮腫のために明瞭ではなく、Gd増強効果は少ない。
※この「症状と検査」の解説は、「急性散在性脳脊髄炎」の解説の一部です。
「症状と検査」を含む「急性散在性脳脊髄炎」の記事については、「急性散在性脳脊髄炎」の概要を参照ください。
- 症状と検査のページへのリンク