生楽器系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 02:56 UTC 版)
シーンとして大きいのは生楽器を取り入れたスタイルである。初期にはフォークトロニカと呼ばれていたが、現在エレクトロニカ自体この手法が主流となったため、そう呼ばれることは少ない。彼らの中にはポスト・ロックとほとんど聞き分けが付かないようなサウンドを展開する者もいる。フォークトロニカと呼ばれても、現在は必ずしもフォーク・ミュージックの影響下にあったり、アコースティック・ギターのみを取り入れているわけではないのに注意が必要である。勃興期にフォーク・ミュージックを思わせるサウンドが流行したため(後述するフェネスやムーム、サヴァス&サヴァラスなど)慣例的にそう呼ばれている。 代表としてはテレフォン・テル・アヴィヴ、フェネス、ムームなどがこれにあたり、この手法は世界中に広がっている。フェネスのEndless Summerはグリッチサウンドにギターを取り入れたフォークトロニカの嚆矢ともなる作品であり、各方面で高い評価を得た。一般的にはポップな物が多いが、中にはミッチェル・アキヤマやエッケハルト・エーラーズのように実験的・アンビエント・ミュージック的な方向性を示すアーティストもいる。 フォークトロニカの中でも比較的ポップなアーティストの中には、「可愛らしい系」とでも呼ぶべきキュートでトイポップなサウンドを作るアーティストが、一定の人気を保っている(「トイトロニカ」などとも呼ばれる)。この方向ではルラトーンやメロディウムといったアーティストが知られており、草分け的存在としてClicks & Cutsにも参加したダット・ポリティクスが挙げられる。 エレクトロニカにジャズ的要素を臭わせたニュージャズ、電子音響ジャズと呼ばれるアーティスト達も存在する。これらはどちらかというとポスト・ロックやクラブ・ジャズ、トリップ・ホップと関連性が深く、基本的にバンド編成であるが、中には初期ラディアンの様によりエレクトロニカに接近したアプローチも存在する。 もう一方ではインディー・ロックとの融合が計られた。この方面ではモール・ミュージックが有名であり、手法としてはフォークトロニカとある程度重なり、ボーカルや生楽器を大幅に取り入れるサウンドである(インディートロニカとも呼ばれることがある)。この手法はインディー・ロックのファンにも大いに受け、人気となった。 インディー・ロックとの融合の中で人気のある手法としてシューゲイザーの後継者であるエレクトロ・シューゲイザー(ニューゲイザーと呼ばれることもある)と呼べる手法があり、ウルリッヒ・シュナウス、マニュアル、ギター、M83といった人気アーティストを輩出した。これは一般的にはリズムを打ち込みにして、上物を様々なギターサウンドとシンセパッドで飾るというスタイルが主流である。元々シューゲイザーはリズムの比重が弱かったことから(シューゲイザー全盛期からカーヴのようにリズムを打ち込みにするバンドが存在していた)、シューゲイザーの正当な後継者と見られている。
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