理論的説明
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/26 02:01 UTC 版)
「アルゴルパラドックス」の記事における「理論的説明」の解説
1955年、アメリカの理論物理学者ジョン・クロフォード(John Avery Crawford, 1921年12月18日 - 2010年2月23日)によって「近接連星系の重い星が先行して準巨星に進化して質量放出し、軽い星のほうにその質量の大部分が移動した」とする説が提唱された。クロフォードが提唱した仮説は、1960年代以降の数値シミュレーションや観測結果によって実証され、1980年代には解決されたと理解されている。 β Per星系の進化の模式図と解説を以下に示す。模式図中で、左の星が現在の伴星Aa2、右の星が主星Aa1、∞形の実線は両星のロッシュローブ、実線の交点はAa1-Aa2間のL1点(ラグランジュ点)を表す。 1. 零歳主系列時 2. Aa2が準巨星に進化 3. Aa1とAa2の質量比が逆転 Aa2とAa1がほぼ同時に誕生する。この零歳主系列 (Zero Age Main-sequence, ZAMS) の段階では、Aa2のほうが質量が大きかった。 より質量の大きなAa2のほうが先行して進化し、中心部の水素核融合が終了してヘリウムの中心核ができる。ヘリウム中心核を取り囲む水素殻で核融合が始まると、Aa2は膨れ上がって準巨星となり、自身のロッシュローブを満たす。 ロッシュローブからあふれたAa2の外層は、Aa1-Aa2間のL1点(ラグランジュ点)を通ってAa1に流れ込む。この質量移動が進むと、やがてAa2とAa1の質量比が逆転し、Aa1のほうが重くなる。 Aa2では、外層を失った分の半径を回復するためにエネルギーが使われるため、光度が下がる。それに対してAa1では、流れ込んだガスが降り積もることで重力エネルギーが解放されるため、光度が上がる。
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