獣道の成因と特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/03 03:59 UTC 版)
大型哺乳類は、やみくもに森林内を行き来するのではなく、それなりにコースを決めて移動する。動物はそれぞれの習性によって、エサをとる場所や水を飲む場所などか決まっている。障害物が少なく移動しやすい経路がある一方で、逆に移動しにくい場所、移動経路として向かない場所もあるからである。前者は動物が通る度に地面が多少とも踏み固められて、動物ごとにクマの通り道やイノシシの通り道など、いつも通る決まった道を総称した「けもの道」となる。低木の小枝は折られ、足下の下草は喰われて短くなったり、踏みつけられて枯れたりするので、獣道は肉眼でも見つけられる。さらに、大型哺乳類の体表に種子を付着させたり、果実を食べさせて中にある種子を運ばせたりする戦略を取っている植物や、踏まれることに強い構造を持った植物などが、獣道沿いに分布を広げているケースもある。動物が食べた果実の種子が運ばれて発芽した場合、獣道沿いに餌場ができるので、ますます経路が固定化するとの指摘もある。 なお、人間が作った林道を他の動物が利用することもあるように、使用する道が一致する場合もある。しかし、動物の種類によって使用する道が一致しない場合もある。獣道はまったくの藪より人間にとって歩きやすいが、野生動物の餌場・ねぐらと人間の目的地は異なる。このため遠方への見通しが効かない登山や山歩きでは、獣道を登山道と誤認すると遭難する危険がある。特にニホンカモシカの獣道は往々にして断崖絶壁に向かい、ヒトには通りにくいので、「カモシカの道はたどるな」と言われる。
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