燃料チャンバーの種類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/23 01:55 UTC 版)
「キャブレター」の記事における「燃料チャンバーの種類」の解説
燃料チャンバーは、ジェットへの安定した燃料供給を保つために一時的に燃料を溜めておく構造である。燃料を溜める量を調節する方式には、浮き(フロート)を利用して液面を保つフロートチャンバーと、ダイヤフラムを利用してチャンバー内の燃料を一定に保つダイヤフラムチャンバーがある。 フロートチャンバー 燃料チャンバーの中には真鍮、樹脂、あるいはコルクなどで作られたフロートが内蔵されており、チャンバー内に満たされている燃料の液面(油面)に応じて上下に動く。フロートにはフロートバルブと呼ばれる弁が連動して動くように取り付けられ、燃料タンクから送られてくる流路を開閉する。燃料がチャンバー内に溜まるとフロートが上昇してフロートバルブを押し上げ、燃料が流入する流路を閉じる。燃料が消費されて、チャンバー内の油面が下がるとフロートが下降して、フロートバルブが開く。この一連の動作により、チャンバー内の油面の高さが一定に保たれる。フロートチャンバー内は大気圧になるように外部との通気性が確保され、通気孔にはエアベントチューブが備えられている場合もある。 フロートチャンバー内の油面は調整でき、フロートのアームを曲げたり、フロートの止めネジを調整したりといった方法で、フロートバルブが閉じる油面高さが変えられる。 金属製フロートの腐食による穴あきや樹脂製フロートの燃料染み込みによって浮力が低下し、混合気が過濃となったり燃料のオーバーフローが起こることがある。この場合はフロートを交換することになるが、チャンバーを分解しなければ発見できないため、異常に気づきにくい。 ダイヤフラムチャンバー チェーンソーや刈払機などの手で持つエンジン機器では、機器を保持する角度によってキャブレターが大きく傾く場合がある。フロートチャンバーは原理上、大きく傾いた状態では正常に動作しないため、こうした機器においてはダイヤフラムチャンバーが用いられている。ダイヤフラムとは柔軟性が高い材質で作られた膜状の部品で、燃料タンクから燃料を吸い出すポンピングダイヤフラムと、燃料チャンバーへの流入経路を開閉するメタリングダイヤフラムがある。ポンピングダイヤフラムはエンジンが始動すると吸入負圧の脈動によりたわみを繰り返して燃料をチャンバーへ送り込む。メータリングダイヤフラムは燃料チャンバーの隔膜として組み込まれ、一方は大気圧に保たれている。メータリングダイヤフラムにはメータリングレバーを介して、チャンバー流入経路を開閉するインレットニードルが連動するように取り付けられている。エンジン停止中はばねの力によりインレットニードルが閉じてチャンバーに流入する燃料を止めているが、エンジンが始動してチャンバー内の燃料が消費されると大気圧に押されたダイヤフラムバルブがインレットニードルを開き、チャンバー内の燃料を補充する。こうしてチャンバー内の油量が一定に保たれる。 ポンピングダイヤフラムは、エンジンが停止中は燃料を送ることができないため、機種によっては空になった燃料チャンバーに手動で燃料を送るプライミングポンプを備える場合がある。
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