煙臭(けむりしゅう)
本格焼酎の蒸留中に生ずることがある燻(いぶ)し臭いにおいのこと。焼酎にとって欠点となる。煙臭は、1.発酵の悪い粘稠(ねんちゅう)な醪(もろみ)をらんびきを用い直火で加熱したとき、醪が広がっている。中国では東魏(とうぎ)場合と、2.大型の単式蒸留機(ぽっとすちる)に大量の醪を入れて、長時間かけと蒸留した焼酎に出る後留臭の一種を指す場合とがある。また、③宮崎静(しずか)の『焼酎よもやま話』(昭和二六年)によると、明治三二年ころ粕取(かすとり)焼酎をつくるのに「酒粕を甑(こしき)に入れて下から蒸気を上げ、上(上鍋(兜釜)のこと)で冷却して凝縮したものをとる、それだけのこと」と考え焼酎をとってみたら、杜氏(とうじ)に「この焼酎は煙くさい、すぶりくさい」といわれたとある。たしかに杜氏がとった焼酎と比べてみると雲泥の差があり、杜氏の焼酎は5度前後の兜釜(かぶとがま)の湯で冷やし、湯気が立つほど熱い焼酎がらんびきの竹の筒から垂れていたので煙臭がまったくなかったという。がス臭の原因といわれるアルデヒドなどの低沸点物がこの方法では揮散するので、この場合の煙臭とはガス臭を指したものと思われる。なお、ウイスキーの場合は泥炭(びーと)を燻して麦芽を乾燥するので原料に一種の煙臭をつけるため、製品にもスモーキング・フレーバーと称するにおいがつき、これがモルト・ウイスキーの特徴香の一つとなっている。
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