潮汐力の強弱
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/13 08:37 UTC 版)
点質量または球形質量による重力場では、重力方向に配向した均一なロッドの場合、中心の潮汐力を一端部に積分することで中心部における張力を求められる。これは F = μ l m/4r3 と表される ( μ : 巨大質量物体の標準重力パラメータ、l : ロッドの長さ、m : ロッドの質量、r : 巨大質量物体までの距離) 。不均一な物体の場合、中心の質量が大きいほど張力は弱く、端の質量が大きいと張力は最大2倍まで強まる。加えて、中心に向かって水平方向の圧縮力が発生する。 表面を有する巨大質量物質の場合、張力は表面近くで最大であり、この最大値はロッドおよび巨大質量物体の平均密度にのみ依存する (巨大質量物体に対してロッドが小さい場合に限る) 。例えば、質量1キログラムかつ長さ1メートルのロッドと、地球と同じ平均密度を持つ巨大質量物体の場合、潮汐力によって発生する最大張力はわずか0.4マイクロニュートンである。 白色矮星の表面付近の潮汐力は、その高密度のためにはるかに強く、この例では0.24ニュートンまでの最大張力を引き起こす。中性子星の付近では、張力はさらに強力である。ロッドが10,000ニュートンの抗張力を持ち、2.1太陽質量の中性子星に向かって垂直に落ちる場合、融解する場合を考慮しなくても、中心から190キロメートルの距離、表面からはるかに離れた位置で崩壊する (中性子星の典型的半径は約12キロメートル) 。 このケースでは、潮汐力ではなく熱により物体が破壊され、人間が生存不可能となる。また (周囲に物質がないと仮定した) ブラックホール付近では放射が存在しないため、潮汐力のために物体が破壊され、人間の生存が不可能となる。加えて、ブラックホールには落下を止める面が存在しない。したがって、落下する物体は薄い紐状に引き延ばされる。
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