潮汐力安定化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/26 04:49 UTC 版)
重力勾配安定化 (Gravity-gradient stabilization) または、重力安定化あるいは潮汐力安定化 (tidal stabilization) と呼ばれる方法は、安価で信頼性が高い。この場合、電子工学もロケットも燃料も使用しない。 姿勢制御テザーは、一方の端に比較的小さな質量があり、もう一方の端に人工衛星があるという形状になっている。二つの質量間のテザーには潮汐力による張力がかかる。潮汐力が何故発生するかについては2種類の説明がある。まず、上にある質量はより高速に軌道上を進んでいるため、遠心力によって上に引っ張る力が発生する。下にある質量は速度が相対的に低いため、下に引っ張る力が発生する。もう1つの潮汐力の説明として、細長い物体の上の方が下の方よりも重力の影響が小さいため、引っ張られる程度が上と下で異なる。地球上ではこの方式で得られる効果は微々たるものだが、宇宙空間では他に大きな力は働かないのである。 このようにして得られる潮汐力で人工衛星の姿勢を安定させ、人工衛星が周回する惑星に常に同じ面を向けるようにする。単純な人工衛星はこのような方式で姿勢を制御することが多い(テザーを使わなくとも、人工衛星の形状で質量分散を図って同じ効果を得る)。また、振り子のように振動することを防ぐため、液体の入ったビンなどを搭載し、液体の動きで制動をかける。
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