漢音で読まれる仏教経典
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/18 14:51 UTC 版)
仏教経典は原則として呉音で読まれるのだが、天台宗における「妙法蓮華経(法華経)」のうち「安楽行品第十四」や「阿弥陀経」、真言宗で読まれる「理趣経」などは漢音で読まれる。(例えば「如是我聞」を「ニョゼガモン」と読まずに「ジョシガブン」と読み、「釈迦牟尼仏」を「シャカムニブツ」と読まずに「セキャボウジフツ」と読む、など) 天台宗における経文の漢音読みは、天台宗開宗以来1200年の伝統に則って、上記の2つの経文などは、昔から漢音読みされる。西山浄土宗など、浄土宗西山三派は阿弥陀経を漢音読みする。また、浄土真宗でも一部の法要の場合のみ阿弥陀経を「漢音小経」として漢音読みする。ただし現在の漢音ではなく新漢音読みが入っており、「国」を普通の漢音の「コク」ではなく「クヱキ」あるいは「ケキ」と読んだり、「法」を「ホウ」ではなく「ハ」あるいは「ハツ」、「極」を「キョク」ではなく「キク」あるいは「キ」、「名」を「メイ」ではなく「ベイ」、「百」を「ハク」ではなく「ハキ」、「明」を「メイ」ではなく「ベイ」(場合によっては「ビ」)と読むなどである。新漢音読みは現代にはあまり伝わらなかったが、これらの一部経典の漢音読みでは現代でも使われているわけである。 真言宗における「理趣経」では、この経典の内容が「煩悩即涅槃」を説き、完全に経文の真意を理解しないうちに文面だけを読んでしまうと、単に「男女の情愛」をも肯定しているエロティックな内容との誤解を招きかねない。そのため「わざと漢音で読む」ことによって経文を読みなれた人にさえも聞いただけでは意味をつかめないようにしているという説もあるが、他の経も漢音読みする場合があり、この説は俗説である。
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