演奏の特色
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/08 05:28 UTC 版)
「ギオマール・ノヴァエス」の記事における「演奏の特色」の解説
旅するヴィルトゥオーゾであった初期の経歴から、非常に幅広いレパートリーを誇っていた。何を演奏するにせよ、旋律線を丹念に歌い込み、無理のない自然体そのもので、高雅な姿勢で演奏に臨んだ。鍵盤に向かう態度の自然さも称賛の的となった。ノヴァエスは、演奏中の力の抜けた感じや、困難を感じさせない特徴から、ピアノが演奏家の腕や指に複合的な緊張をもたらす楽器であるということをほとんど感じさせないようなピアニストの一人であった。ノヴァエスの音色や繊細な調子は、19世紀ロマン派の偉大なピアニストを連想させる。演奏技巧はしなやかで、頑張りを必要としていない。 いつの時期でもノヴァエスの演奏は、濃密な詩的情緒と著しい女性らしさが際立っていたと評されており、ハロルド・ショーンバーグは著書『ピアノ音楽の巨匠たち』において、ノヴァエスが1950年代後半にアンドレ・クリュイタンスの指揮でシューマンのピアノ協奏曲を演奏したときを思い返して、「ヨゼフ・ホフマンの演奏を著しく連想させた。同じような柔軟さと音色の繊細さ、リズムの迷いのなさが認められた」と評している。「同じ曲を二度とは同じように弾かないこともホフマンに似ていた。演奏ごとに作品の視点をやや変えてみるのだ。その都度、新しい解釈は避け難く、絶対に自然なものに思われた。」
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