温暖化説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 09:09 UTC 版)
クマゼミは、大昔の比較的温暖な時期(縄文時代)には南関東の広域で棲息していたが、比較的寒冷な時期(弥生時代以降)になると南関東の大部分で死滅し、冬でも比較的温暖な房総半島南部や三浦半島南端のみで生き残ったとの指摘がある。これは、温暖期には北海道の広域でミンミンゼミが棲息していたが、寒冷期になると冬でも比較的温暖な道南や地熱により局地的に気温の高い屈斜路湖の和琴半島のみに生き残ったのと同じ原理である。そして、再び現在の温暖な時期になり、クマゼミの北上・東進が進み、南関東の広範囲でもクマゼミが棲息するようになった。東京都内・北陸の金沢は、北上・東進の最前線域と指摘されている。 一方で、この説に従わない指摘も存在する。例えば、温暖なはずの山口大学キャンパス内でクマゼミが存在せず、アブラゼミのみ存在した話や、現在よりも寒冷であったはずの100年前の京都市でクマゼミの目撃証言があった話など、地球温暖化との関連性を否定する逸話もある。 もともと関西のクマゼミは都市部ではあまり多くなかった。しかし高度経済成長期あたりから都市部で増加し始め、現在の大阪市内ではアブラゼミを完全に凌駕している。このような、特定の種類のセミがそれ以外の種類のセミを凌駕する傾向は、セミの種類こそ異なるものの他の都市においても見られる。 様々な都市に見られるセミの生息分布の変化が地球温暖化によるかどうかはわかっていない。しかし、セミ類以外の昆虫(チョウやコオロギなど)では地球温暖化の影響と見られる事例(ナガサキアゲハやヒロバネカンタンの棲息域拡大など)が指摘されている。
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