海洋技術における海況
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/10 21:00 UTC 版)
工学での活用では、海況はよく次の2つのパラメータによって特徴付けられる。 有義波高H1/3:1/3に最も高い波の平均の波高。 平均波周期(mean wave period)、T1。 Sea Stateはこれら2つのパラメータ(または、この2つの変化)に加え、波スペクトル S ( ω , Θ ) {\displaystyle S(\omega ,\Theta )} (波高スペクトル S ( ω ) {\displaystyle S(\omega )} と波の進行方向スペクトル f ( Θ ) {\displaystyle f(\Theta )} の積)によって記述される。 いくつかの波高スペクトルを下記に記載する。波スペクトルの次元は { S ( ω ) } = { length 2 ⋅ time } {\displaystyle \{S(\omega )\}=\{{\text{length}}^{2}\cdot {\text{time}}\}} となり、スペクトルからSea Stateに関する多くの興味深い特性を見い出すことが出来る。 ある波の成分jにおいてスペクトル S ( ω j ) {\displaystyle S(\omega _{j})} と波の振幅 A j {\displaystyle A_{j}} との関係は 1 2 A j 2 = S ( ω j ) Δ ω {\displaystyle {\frac {1}{2}}A_{j}^{2}=S(\omega _{j})\,\Delta \omega } ITTCが推奨する完全に荒れた海のスペクトル(ISSCスペクトル/Pierson-Moskowitz スペクトルを修正): S ( ω ) H 1 / 3 2 T 1 = 0.11 2 π ( ω T 1 2 π ) − 5 e x p [ − 0.44 ( ω T 1 2 π ) − 4 ] {\displaystyle {\frac {S(\omega )}{H_{1/3}^{2}T_{1}}}={\frac {0.11}{2\pi }}\left({\frac {\omega T_{1}}{2\pi }}\right)^{-5}\mathrm {exp} \left[-0.44\left({\frac {\omega T_{1}}{2\pi }}\right)^{-4}\right]} ITTCが推奨する広がりが制限されたスペクトル(JONSWAP spectrum) S ( ω ) = 155 H 1 / 3 2 T 1 4 ω 5 e x p ( − 944 T 1 4 ω 4 ) ( 3.3 ) Y , {\displaystyle S(\omega )=155{\frac {H_{1/3}^{2}}{T_{1}^{4}\omega ^{5}}}\mathrm {exp} \left({\frac {-944}{T_{1}^{4}\omega ^{4}}}\right)(3.3)^{Y},} ここで、 Y = exp ( − ( 0.191 ω T 1 − 1 2 1 / 2 σ ) 2 ) {\displaystyle Y=\exp \left(-\left({\frac {0.191\omega T_{1}-1}{2^{1/2}\sigma }}\right)^{2}\right)} また、 σ = { 0.07 if ω ≤ 5.24 / T 1 , 0.09 if ω > 5.24 / T 1 . {\displaystyle \sigma ={\begin{cases}0.07&{\text{if }}\omega \leq 5.24/T_{1},\\0.09&{\text{if }}\omega >5.24/T_{1}.\end{cases}}} 一例として関数 f ( Θ ) {\displaystyle f(\Theta )} は下記のようになる。 f ( Θ ) = 2 π cos 2 Θ , − π / 2 ≤ Θ ≤ π / 2 {\displaystyle f(\Theta )={\frac {2}{\pi }}\cos ^{2}\Theta ,\qquad -\pi /2\leq \Theta \leq \pi /2} したがって、Sea stateは次の関数によって、完全に決定され、再現することが出来る。 ζ {\displaystyle \zeta } が水位変動(wave elevation)であるとき、 ϵ j {\displaystyle \epsilon _{j}} は0から 2 π {\displaystyle 2\pi } の間で均一に分配され、 Θ j {\displaystyle \Theta _{j}} は方向性分配関数 f ( Θ ) {\displaystyle {\sqrt {f(\Theta )}}} からランダムに掃引される。 ζ {\displaystyle \zeta } は次式のようになる。 ζ = ∑ j = 1 N 2 S ( ω j ) Δ ω j sin ( ω j t − k j x cos Θ j − k j y sin Θ j + ϵ j ) . {\displaystyle \zeta =\sum _{j=1}^{N}{\sqrt {2S(\omega _{j})\Delta \omega _{j}}}\;\sin(\omega _{j}t-k_{j}x\cos \Theta _{j}-k_{j}y\sin \Theta _{j}+\epsilon _{j}).} 上に提示された短期間の波統計に加えて、長期海況統計がある。これは有義波高と平均波の周期による統合周波数表である。長い、または短い期間統計的な配分によって、船舶の運航寿命として期待出来る極値を見つけることが可能である。船舶の設計者は、最も極端なSea state(H1/3とT1の極値)を統合周波数表から見つけることが出来、また、設計者は波のスペクトルから、最も極端なSea stateにおいて発生し得る最大の水位変動を見出すことが出来、船の個々の部分で発生し得る最高負荷を、船舶の応答振幅要素から予測することが出来る。100年か1000年間で一度の海況に対する抗甚性が船舶や海洋構造物の設計では恒常的に要求される。
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