海の日の魚を買ひに港まで
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評 言 |
「海の日」はハッピーマンデー制度という月曜日を休日化し、土曜日・日曜日とを合わせた3連休にして、余暇を過ごしてもらおうという趣旨の祝日法の改正が平成13年にあり、現在は7月の第3月曜日となっている。それ以前は7月20日だったので祝日とはいっても必ずしも連休にはならなかったので、海水浴シーズンにあっては利用価値が低かった。今は改善されたというわけである。私など首都圏で生まれ育った人間が海水浴と聞いて、すぐに連想するのが湘南の片瀬江ノ島である。江ノ島は神奈川県藤沢市にあり、海水浴場としても歴史があるが、島内にも弘法大師や日蓮上人の修行をしたという岩屋や江ノ島神社の裸弁財天などの歴史的名所がある。この裸弁財天は近江琵琶湖の竹生島の弁天様、広島安芸の厳島の弁天様とともに“日本三大弁天”の一つとして有名である。江ノ島のある藤沢市の地続きは鎌倉市で数多の寺社は観光都市というより宗教都市という姿勢をとっていて、都市化が進んでも古都の佇まいを残していて我々には有難い。 前置きの事程左様に作者の小野淳子氏は藤沢市に住んでいる。従って湘南・鎌倉での作品が多いのは当然である。また、作者を知っている人から見れば日常を詠んでも湘南・鎌倉の句となる場合があり、掲句はその一つに当たるだろう。ここで詠んでいる「港」は「腰越漁港」である。「腰越漁港」へは藤沢から江ノ島電鉄(江ノ電)で六つ目の腰越で降りる。腰越は義経の「腰越状」で有名なあの腰越である。駅手前の国道を渡るとすぐに「腰越漁港」が見える。漁港とはいっても地元漁船を主とする第一種漁港で、毎月2回ほど定期的に午前10時から朝市が行われる。その日の朝に採れたシラス・カマス・イワシ・アジ・カサゴなどの水産品が販売される。掲句はそのときの模様を詠んだものと思われる。 作者は海程・林苑の小野淳子氏と同姓同名だが、こちらの方は俳人協会員(結社「雲」)の小野淳子氏である。 |
評 者 |
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備 考 |
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