津波による損傷・喪失
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 04:39 UTC 版)
「F-2 (航空機)」の記事における「津波による損傷・喪失」の解説
2011年3月11日、松島基地の第21飛行隊所属で操縦士訓練に使用されていた18機のF-2Bが、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)によって発生した津波により水没した。これにより当時93機保有していたF-2量産機の20%、高等練習機を兼ねる複座型のF-2Bに限れば59%を一度に損失し、残存機数が75機と当初の調達予定数であった141機の半数程度にまで落ち込むと見られたが、防衛省は2011年第1次補正予算案に分解検査費150億(T-4などの修復費用も含む)を要求し、水没した18機の修理を決定、4月17日より修復作業に入った。また、第21飛行隊は同年4月に三沢基地に移動となり、同基地に配置されている機体で操縦士訓練を再開している。 当初の検査では修復可能な機体は6機程度であり、1機あたり50億円-60億円の費用が必要とされた。被災時点でF-2はすでに生産ラインを閉じ始めており、また折からの不況と緊縮財政による予算不足でラインの再開も難しいため、喪失した機体の追加調達は不可能に近かった。とくに複座型を一挙に多数喪失したことによって不足する訓練機の数は、教育プログラムの変更等(米空軍にてF-16を使用した訓練等)で補うこととした。修理費は1機あたり約130億円(総額約800億円)になり、被害が酷く修理は困難と判断された12機は部品取りの後、処分する方針とされていた。 2013年1月22日、上記の6機に加えて7機を修理する計画があることが防衛大臣・小野寺五典より発表された。あわせて18機中13機までの修復が実現・完了すれば、F-2量産機の保有機数は88機となり被災前の95%まで回復することになる。 2015年2月16日、修復された機体の初号機(03-8106)が名古屋飛行場で初飛行に成功、4月21日に愛知県豊山町の三菱重工業小牧南工場で修復第1号機の納入式が行われた。部品を再利用するなど1機あたりの修復費用は73億円で、2017年度までに13機の修復を終える予定であった。ロッキード・マーティンも修復に協力。 2016年3月20日、修理を完了させた6機を含んだ計10機のF-2で第21飛行隊が三沢基地から松島基地に帰還した。 2018年2月28日、修復最終号機(33-8117号機)が松島基地に到着、修復作業を行った全13機の納入が完了した。
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