法律による行政における法律の留保の範囲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 07:08 UTC 版)
「法律の留保」の記事における「法律による行政における法律の留保の範囲」の解説
法律による行政における法律の留保の範囲は、それによって議会の授権を必要としない行政権の活動範囲を画することとなるため議論がある。 権力留保説(有力説)権力的行為形式で行われる行政活動には、法律の根拠が必要であるとする見解。侵害的行政活動であるか、受益的行政活動であるかを問わず法律の根拠を要求する。 権力留保説に対しては法律の根拠と権力の所在の認定という2つの問題を混淆しているという指摘がある。 侵害留保説(判例・実務)個人の権利または自由の侵害にわたる場合に法律の根拠が必要であるとする見解。補助金の交付などの授益的行政活動については、法律の根拠は不要であるとする。 侵害留保説に対しては行政の民主的コントロールという点で問題であり、国民の現実あるいは将来の生活が行政府によって規定されてしまうことになるという指摘がある。 本質留保説侵害留保説を中核としながら、国土開発計画のような基本的人権にかかわりのある重要な行政活動については、その基本的内容について、法律の授権を必要とする見解。 全部留保説行政活動の全部において法律の授権を必要とする見解。 全部留保説に対しては根拠規範がない限り変化する行政需要に適応できなくなり、またはそれを回避するために包括的な授権立法をせざるをえなくなるといった問題が指摘されている。
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