水準分け
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 14:42 UTC 版)
「JIS X 0208」の記事における「水準分け」の解説
第1水準は、当用漢字字体表、当用漢字補正案および人名用漢字別表を基本として、多種の漢字表に共通して出現する文字が選ばれた。JIS C 6260(都道府県コード、現在のJIS X 0401)およびJIS C 6261(市区町村コード、現在のJIS X 0402)を参照して、都道府県名および市区町村名に使用される漢字がすべて第1水準に含まれるように意図された。さらに専門家による調整が加えられた。 しかし安岡 (2001a) によれば作業漏れががあったようで、安岡は印旛郡、印旛村の「旛」(58-57) および泗水町の「泗」(61-89) が第1水準に含まれていないことを指摘している。 第2水準には、上記の主要4漢字表に出現して第1水準から漏れた漢字が収められた。次に記すように、第1水準は漢字の音訓に基づいて並べられたので、音訓がわかりにくい漢字の中には第1水準から第2水準にまわされたものもある(西村 1978)。 一般的に第1水準は使用頻度の高い漢字、第2水準は使用頻度の低い漢字とされるが、水準分けはもちろんJIS漢字制定当時の基準であるので、時代の流れによって今日では「翔」や「煌」といった第2水準だがよく使われるようになった漢字、逆に「糎」や「粍」といった第1水準だがあまり使われなくなった漢字も多数存在する。人名用漢字別表にはJIS漢字制定後に追加されたものの中には第2水準のものもいくつか存在する。 実際の人名が収録されたと思われた『日本生命収容人名漢字』は選定に寄与したとされるが、秋田県に多い苗字である草彅の「彅」が含まれていないなど網羅性に不備があったとされる。参照時点で原典が存在せず転記となっているなど正確性も不明であった。 1990年代以降はほとんどのシステムで第2水準漢字まで使えるようになり、文字コードもUnicodeへ移行しつつあるため、使用したい漢字が第1水準か第2水準か気にする必要はほとんどなくなった。しかし、数千字もある漢字フォントを作るには、相当の手間と時間がかかるため、フリーのフォントなどでは一部の漢字しか収録しないことがある。その際、水準を基準にして収録するかしないかを決めることもある(第1水準しか収録していないフォントもある)。
※この「水準分け」の解説は、「JIS X 0208」の解説の一部です。
「水準分け」を含む「JIS X 0208」の記事については、「JIS X 0208」の概要を参照ください。
- 水準分けのページへのリンク