民法上の隠居
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/31 14:39 UTC 版)
民法上の隠居は、1890年(明治23年)に公布された旧民法(民法財産取得編人事編(明治23年法律第98号)。施行されずに廃止された。)にも見られる。その後、1898年(明治31年)に公布・施行された民法第四編第五編(明治31年法律第9号)により制度化され、1947年(昭和22年)に改正されるまで続けられた。 改正前の民法では、家族の統率・監督を行うための権限である戸主権を戸主に与え、戸主たる地位を家督と言った。家督を家督相続人に承継させる制度が家督相続であって、隠居は家督相続の開始原因の一つである。隠居者自身(または法定代理人)による隠居の意思表示に基づき、隠居者と家督相続人が共同で届出を行うことにより、戸主の生前に家督相続が開始する。 改正前民法では普通隠居ができる条件として (年齢)満六十年以上なること(752条) 完全の能力を有する家督相続人が相続の単純承認を為すこと(752条) を挙げていた。また特別隠居ができる条件としては 戸主が疾病により家政を執ることができない場合(753条) 本家を家督相続するため、現在の家の戸主を務めることができなくなる場合(754条) 女戸主である(755条) がある。その場合、あらかじめ推定家督相続人を定め、その承認と裁判所の許可を得たうえで隠居が可能となる。 754条によって本家を相続する場合を除き、隠居すると戸主は戸主権を失い、新戸主の戸主権に服することとなる。
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