民法上の責任能力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/29 06:12 UTC 版)
民法における責任能力とは、すなわち不法行為に関する責任を負う能力であり、その行為の責任を弁識するに足るべき知能を備えていることが要求される(民法712条)。責任能力を持たないものに対しては不法行為責任が認められず、損害賠償を請求することができない。 その場合には、これら責任無能力者の監督義務者等が原則として責任を負うことになっている(民法714条1項本文・2項)。 ただし、監督義務者等が監督義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、責任を負わない(民法714条1項但書・2項)。監督義務の範囲が不明確とされていたが、2015年4月、最高裁判所は危険を予想できたなどの特別な事情がない限りは、監督義務を尽くしていなかったとは言えないと初めて判断した。 なお、未成年者などの不法行為者に責任能力がある場合には、その者に不法行為責任が認められるが、その者が無資力である場合には事実上損害を賠償してもらうことが困難になるという問題を生じる。判例は民法714条の規定は不法行為者に責任能力が認められる場合において監督義務者につき民法709条の一般不法行為が併存的に成立することを妨げる趣旨ではないと解しており、監督義務者の監督義務違反と未成年者など不法行為者の不法行為によって生じた結果との間に相当因果関係が認められる場合には監督義務者は民法709条の一般不法行為責任を負うものとしている(最判昭和49年3月22日民集28巻2号347頁)。 詳細は「監督義務者の責任」を参照
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