死亡年齢の測定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/10/23 07:49 UTC 版)
「アミノ酸年代測定法」の記事における「死亡年齢の測定」の解説
アミノ酸のL体からD体への転化は37℃付近で起こりやすく、生体内ではたびたび発生している。発生したD体のほとんどは生理作用により体外に排出される。しかし、歯のエナメル質や象牙質に取り込まれたD体は体外に排出されず、年齢と共に蓄積していく。そのため、歯に含まれるアミノ酸のD体とL体の比率を調べれば、遺骨の推定死亡年齢を知ることができる:334。 歯中のD体の濃度は、死亡年齢10歳であれば1%、60歳であれば3%程度である。この方法は、1000年前までに死んだ遺体であれば適用ができる。過去1000年以上になると、化学反応によるL体とD体の転化の影響が無視できなくなるため、この方法は適用できなくなる:334。考古学だけではなく、法医学にも使われることがある。 100℃程度の高温下でも、6時間程度であれば化学反応によるラセミ化はほとんど発生せず、誤差の要因になりにくい。歯が変色している場合にはサンプル表面だけで評価すると誤差が大きくなる場合がある。焼死体の歯であっても、コラーゲン性ではないタンパク質で評価すれば誤差は少ない。 ラセミ化の程度はアミノ酸の種類にもより、アスパラギン酸はラセミ化の速度が速い。骨は組織が常に入れ替わっているために歯の代わりに年齢特定に用いることはできない。歯以外でも、大脳白質や水晶体では年齢との相関が認められている。分析にはクロマトグラフィーを使う場合が多い。歯の完成期は歯の種類(犬歯、臼歯など)にもよるため、年齢特定には種類ごとの補正が必要である。この補正を正しく行えば、相関係数0.991という高い相関が得られるという報告もある。
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