正書法および音韻論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/11 07:32 UTC 版)
ドゥアラ語の正書法は次に述べるような経緯により成立した。バーゼルの福音主義派の宣教師たちがカール・マインホフ(Carl Meinhof)教授の助けを借りて、主に話し言葉を考慮した簡略化された音声表記を確立し、1901年に刊行した Male ma Peńa で使用して以来この方式が大方踏襲されてきた。その後1955年になって Bete̱sedi ońola tila la bwambo ba Duala〈ドゥアラ語の正書法の規則集〉という仮綴じ本によりいくつかの修正が加えられ、ヨハネス・イットマン(Johannes Ittmann; 1939年にこの言語の文法書を刊行)、マンフレート・ンケンベ(Manfred Nkembe)、マルティン・イトンド(Martin Itondo)、パウル・ヘルムリンガー(Paul Helmlinger; 1972年にこの言語の辞書を刊行)からなる委員会による後の刊行物で確立された。 ドゥアラ語のアルファベットは次の通りである: a、b、c、d、e、e̱、f、g、h、i、j、k、l、m、n、ṅ、ń、o、o̱、p、r、s、t、u、w、y。このうち、 母音字 e̱ は /ɛ/、o̱ は /ɔ/ である。 子音字 c および j は英語の John や church に見られるような破擦音である。 子音字 g はいくつかの借用語を除き、必ず前鼻音化した状態で現れる(/ᵑɡ/)。 子音字 ṅ は軟口蓋鼻音 /ŋ/ である。 子音字 ń は硬口蓋鼻音 /ɲ/ である。 子音字 w や y /j/ は半母音で母音間に見られる場合があるが、音韻には関係しない(例: uwe̱le̱ もしくは ue̱le̱ /ú(w)ɛ̀lɛ̀/〈訊く〉; bele̱ye̱ もしくは bele̱e̱ /bèlɛ̀(j)ɛ̀/〈(誰かを) 呼ぶ〉)。 母音間で現れる子音字 l は /d/ の異音である(例: judi あるいは juli /d͡ʑúdí/ ([d͡ʑúdí~d͡ʑúlí])〈お腹いっぱい〉)。 Helmlinger (1972) では語ごとに高声調・低声調・上昇調(低-高の組み合わせからなるもの)・下降調(高-低の組み合わせからなるもの)の4種類の声調のいずれかが見られるとされている。
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