正式名称の選択
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/30 16:37 UTC 版)
「エリス (準惑星)」の記事における「正式名称の選択」の解説
サイエンスライターの Govert Schilling によると、ブラウンは当初、ブラフマンが遊んだゲームの結果として宇宙の存在を説明したインド神話の概念に因んで、2003 UB313を Lila と呼ぶことを考えていたという。また、この名称はブラウンの娘の名前 Lilah とよく似ている。ブラウンは正式に名称が承認されるまで名称を公表しないことに留意していた。これは、その1年前にセドナの名称が正式に承認される前に名称を独自で公表し、議定書に違反する行為として多くの批判を受けたためである。セドナについては議定書の違反があった件以外で名称に異議は唱えられず、競合案となる名称も提案されることはなかった。しかし、彼は自身が発見した新天体の情報を個人のウェブページにてリスト化していたが、ハウメアの発見に関する論争の混乱の最中であったため、URIに含まれる /~mbrown/planetlila という文字列を変更するのを忘れていた。ブラウンは同僚の天文学者らを不必要に怒らせるもの(セドナの名称の件を踏まえたもの)ではなく、Lila は自身の娘の名前に由来すると述べ、Lila を2003 UB313の名称案から外した。 ブラウンはまた、ローマ神話における冥界の王プルートーの妻である女神ペルセポネーの名が2003 UB313に与えられるのに良い名称になるだろうと推測していた。この名前はサイエンスフィクション作品で数回使用されており、ニュー・サイエンティスト誌が実施した2003 UB313に相応しい名称に関する世論調査では1位となった(「Xena」もニックネームとして知られていたが4位となった)。しかし、同名の小惑星 (399) ペルセフォネがすでに存在していたため、準惑星に分類された2003 UB313にこの名称が正式に使用されることは不可能となった。 惑星の定義についての論争が終わった後の2006年9月6日に、発見グループは2003 UB313を「エリス (Eris)」と名づけることを提案し、9月13日に国際天文学連合により正式にこの名称が承認されることになった。名称が正式に承認される5日前の9月8日には、小惑星センターにより小惑星番号136199番が与えられた。ブラウンは、惑星と見なされていた時もあったことから、古代ギリシアおよびローマの文化に関する名称に由来しているものが大部分を占めていた小惑星とは異なり、他の惑星と同様にギリシア神話またはローマ神話に登場する神の名前に因んで命名するに値すると判断した。ブラウンは2006年に「エリスは人々の間で口論を引き起こすことによって争いと不和を引き起こした」と述べ、神話上でエリスが引き起こした争いを、エリスが天文学にもたらした惑星の定義をめぐる論争に喩えている。
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