業績への評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/04/25 16:14 UTC 版)
「アドルフォ・ファルサーリ」の記事における「業績への評価」の解説
当時、ファルサーリ商会の作品は高い評価を受け、人気を集めていた。キプリングの賞賛だけでなく、自身写真家で、多くの写真技術に関する著書を持つウィリアム・K・バートンは、1887年に「ファルサーリの作品以上に優れた彩色写真は、今まで見たことがない」と評価している。 同年、ファルサーリの作品に対する賞賛の記事が「Photographic Times and American Photographer」に掲載され、「技術的にほぼ完璧」であると記述されている。さらに、以前は全くアメリカ人に馴染みがなかった日本人の生活描写や、日本の自然の美しさに対する印象を喚起する点において「芸術的に調和が取れている」としている。 一方後年には異なった意見が出された。1988年に、芸術・写真の歴史家であるエレン・ハンディ (Ellen Handy) は、ファルサーリ商会が「大量の風景写真のアルバムを出版したことでよく知られているが、写真の品質と人工彩色の精緻さについてはまったく考慮していない」と述べている。 アジアでの初期写真技術の専門家であるテリー・ベネット (Terry Bennett) はファルサーリの作品について「調和しておらず、ベアト、シュティルフリート、日下部らの写真に見られた優れた特質を欠いている」としている。ただし一方でベネットは、ファルサーリが熟練した職人を雇用、最上の紙を使用し、「驚くべき彩色写真」を製作したとも書いている。 歴史家のセバスチャン・ドブソン (Sebastian Dobson) は、ファルサーリ(その他、当時横浜で活動していた写真家、特に日下部と玉村)の作品が持つ芸術的・歴史的な意義は長期にわたって再評価を繰り返されており、その過程で、旅行者向けのキッチュであるとして忘れ去らたこともあったし、「19世紀に西洋で流行した異国趣味に迎合したものであると考えられた」こともあったとしている。 現在ファルサーリの写真とアルバムは多くの美術館、個人コレクションに所蔵されている。2004年にはボストン美術館で彼の作品の特別展が開催された。
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