森林管理官との悶着
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/08 00:28 UTC 版)
「ピエール・ロスタン」の記事における「森林管理官との悶着」の解説
1945年4月16日朝、ソビエト赤軍はオーデル川沿いに展開するドイツ第9軍と第4装甲軍に対する大攻勢を開始した(ゼーロウ高地の戦い)。ベルリンの戦いの前哨戦であるこの戦いでドイツ軍部隊は後退しつつ頑強に抵抗したが、19日に赤軍はドイツ軍戦線を突破し、第三帝国の首都ベルリンを包囲する準備に着手した。 しかし、赤軍によるベルリン包囲が着々と進んでいるこの時期は、ベルリン北部で対戦車障害物建設工事に従事している「シャルルマーニュ」師団(連隊)のフランス人将兵にとっては奇妙なほど平穏な期間であった。 当時、ピエール・ロスタン武装上級曹長の第58SS大隊第6中隊も、他の将兵と同様にベルリン北部で対戦車障害物建設工事に従事していた。彼らは朝から夜まで続く重労働に汗を流していたが、彼らに支給される食糧は非常に乏しかった。そのため、中隊長であるロスタンは少しでも多くの食べ物を補わんとして、狩猟が第三帝国の法律における禁則事項の1つであったにもかかわらず、毎日のように駐屯地周辺の森でシカを狩っていた。 ある日、ヴォクール(Wokuhl)の森林管理官が怒りに身を震わせてロスタンの執務室のドアを蹴り開けた。森林管理官は自分が逮捕したシカ殺し(反共フランス義勇軍団以来のフランス人義勇兵で、ロスタンの部下の1人)をロスタンの前に突き出して、この男は私が近寄った時に私の頭を狙って発砲した、と説明した。 禁則事項である狩猟を率先して実行していたロスタンは、自分と部下の不祥事を隠すように「我々は鉄の規律で支配されており、そのようなことをするはずがない」として、貴官(森林管理官)の勘違いではないのかと言い返した。この対応に納得がいかない森林管理官は、さらにロスタンに食ってかかった。 すると、突然逆上したロスタンは森林管理官が持っていたライフルを奪い取って床に叩きつけた。その迫力に肝を潰した森林管理官の怒りは消え失せ、彼は半泣きで立ち去った。翌日、お詫びの仲直りのしるしとして、森林管理官は自分が仕留めた獲物をロスタンのもとへ送り届けた。
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