棚野の千両祭とは? わかりやすく解説

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棚野の千両祭

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/18 05:02 UTC 版)

棚野の千両祭
Tanano Senryou Matsuri
イベントの種類 祭り
通称・略称 棚野の千両祭、諏訪神社の祭礼芸能
正式名称 諏訪神社の大祭
開催時期 10月
初回開催 不明
最終開催 2025年令和7年)10月5日
会場 諏訪神社京都府南丹市美山町鶴ケ岡宮ノ腰)
主催 諏訪神社大祭実行委員会
後援 鶴ヶ岡振興会
最寄駅 日吉駅
南丹市営バス鶴ヶ岡線・福居線 川合バス停
駐車場 南丹市立鶴ヶ岡小学校
南丹市立美山林業者等健康管理センター
備考
15年に一度の開催
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棚野の千両祭(たなののせんりょうまつり)は、京都府南丹市美山町鶴ケ岡諏訪神社祭礼である[1]。豊作、勇武などの縁起を祝い、5つの村が異なる芸能を共演する[2]。京都府の登録無形民俗文化財[3]

概要

諏訪神社は旧鶴ヶ岡村19集落の氏神で、毎年10月5日に祭礼が行われる。15年ごとの大祭(中祭)と、30年ごとの特別大祭(大祭)は、奉納芸の華麗さや多額の費用をかけることから「棚野の千両祭」と呼ばれている[4]

実行委員会は諏訪神社の総代会や鶴ヶ岡振興会、消防団らによる30名程度で構成され、総代長が委員長を務める[5]

流れ

祭礼は次の順で、概ね9時から15時まで行われる。

  • 式典神事斎行
  • 巫女舞奉納
  • 奉納芸斎行
    • 獅子舞 – 豊郷
    • 振物(刀踊) – 盛郷・福居
    • 振踊(姫踊) – 豊郷
    • 神楽 – 高野
    • 神楽 – 鶴ヶ岡(字鶴)
    • 俵振り – 鶴ヶ岡(字鶴)

奉納芸

5大字(高野・鶴ヶ岡・豊郷・盛郷・福居)ごとの氏子によって奉納され、室町時代に流行した風流踊の流れをくむものという[6]。それぞれの芸には大太鼓による囃子が伴い、大太鼓を乗せる屋台は風流の作り物を飾る曳山の形式となっている[1]。奉納芸には300人ほどが出演する[7]。すべての奉納芸の伝承は口伝が原則とされている[8]

豊郷

獅子舞
豊郷の獅子舞は大正期から加わったものとされている[4]
振踊(姫踊)
豊郷(とよさと)の振踊は、道行の歌・お伊勢踊り・長者踊り・小鷹踊り・商踊り・武者踊りの6曲で、入端で練り込み出端で退く「かけ踊り」の古い形態と見られており、どれも縁起を祝うものである[1]。青年の中踊り、女装した少年の側踊り、大勢が輪踊りを見せる典型的なもので、音頭と笛、太鼓の囃子がつく[2][4]

盛郷・福居

振物(刀踊)
盛郷(もりさと)と福居(ふくい)の振物は、2人1組で手にする太刀なぎなた、棒などで一方が打ってば片方が受けるという左右対称的な演技を見せる組太刀型の太刀踊である[1]。露払、棒振、長刀、太刀、太刀、牛若弁慶、太刀(おいなげ)の7曲を伝えている。おいなげは負い投げの意味で、地面につけた刀の柄を軸にしてかいくぐる「柄こぐり」や「背負い投げ」の型があり、他の地方では見られない[4]。こうした芸能は、長刀状の太刀を持って揃い振りを演じる丹後の太刀振や、なぎなたを持つ近江の長刀振(ケンケト祭り)に通じるものがあるという[2]

高野

神楽
高野(たかの)の神楽は、道化芸と太鼓打ちが一体となった芸能である[4]恵比寿大黒天狗おたふくひょっとこ(ササラすり)2人と太鼓打ち10人ばかりの構成で、笛・鉦・太鼓の神楽囃子に合わせて太鼓のまわり打ちを見せ、その傍らで道化が曲芸を演じる。また、のぼりさしを肩や額で支えたり受け渡したりするなどの芸も見せる[2]

鶴ヶ岡

神楽
鶴ヶ岡(字鶴。あざつる)の神楽は、高野とほとんど同様であるが、太鼓打ちが15人になる[1]
俵振り
俵振りは大勢の青年が小型のを持って神楽囃子に合わせて演技するもので、最後に狐の面を着けてけんけん跳び(狐踊り)をする[2]

歴史

起源・沿革などの詳細は分かっていない[6]。大祭は古くから50年に一度、中間の25年目にも中祭が行われたと伝えられているが、1975年昭和50年)以降は15年ごとになった[7]

かつては長男のみが参加できたが、現在は長男に限定せず女性も参加することができる[5]

年表

  • 1975年昭和50年)10月5日 – 斎行
  • 1990年平成2年)10月5日 – 斎行
  • 1991年(平成3年)4月19日 – 祭礼芸能が京都府登録無形民俗文化財に登録[3]
  • 2005年(平成17年)10月5日 – 斎行
  • 2020年令和2年)10月5日 – 新型コロナウイルスの拡大防止のため、翌年に延期
  • 2021年(令和3年)10月5日 – 感染症拡大防止のため、中止
  • 2025年(令和7年)10月5日 – 20年ぶりの斎行

脚注

  1. ^ a b c d e 山本拓人 (2021年3月23日). “京都の祭り・行事 京都市と府下の諸行事2”. 京都ふるさと伝統行事普及啓発実行委員会. p. 37. 2025年10月5日閲覧。
  2. ^ a b c d e 『京都の文化財 第九集 諏訪神社の祭礼芸能』京都府教育委員会、1991年3月、33頁。 
  3. ^ a b 民俗文化財(無形)”. 京都府教育委員会文化財保護課. 2025年10月5日閲覧。
  4. ^ a b c d e 中島弥栄子『美山町誌 上巻 年中行事』美山町役場、2000年。 
  5. ^ a b 長田萌ほか (2022年1月14日). “伝統行事の保存会への聞き取り調査振り返り座談会”. 第3部 伝統行事と山間地域の地域コミュニティ維持・活性化 伝統行事の保存会のアンケート・聞き取りを中心に. 京都府立大学地域貢献型特別研究. p. 54-55. 2025年10月18日閲覧。
  6. ^ a b 鶴ヶ岡(つるがおか)京都府南丹市美山町鶴ヶ岡”. 丹波の地理・歴史資料編. 2025年10月5日閲覧。
  7. ^ a b 『棚野の千両祭り 成功へ準備着々 資金、人手不足で苦心』京都新聞朝刊、2020年4月4日。 
  8. ^ 2025年開催 棚野の千両祭 告知ちらし

関連項目




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