栽培・培養
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/17 05:26 UTC 版)
食用として利用された歴史があるにもかかわらず、日本では、人工栽培の手法についての研究例が少なく、マツタケなどの増殖法にならい、マツの若齢林の下草刈りや落ち葉・落ち枝の除去を行う程度の段階に留まっている。中国では、ウンナンアカマツの林地にハツタケの培養菌株を接種して増殖試験を行い、ヘクタール当り675kgの子実体を収穫した例がある。 菌糸体の人工培養に際し、分離源としては子実体のかさ肉や柄の内部組織は不向きで、ひだの断片を用いるべきであるとされている。また、アカマツの生葉の煎汁培地上での生育は不良 で、菌糸体の大量培養にはショ糖34g ・廃糖蜜13ml ・小麦のふすま 36g ・コーンミール20g ・リン酸二水素カリウム3g(蒸留水1000 ml 当り)を用いた液体培地がよく、この培地1リットル当り約18gの培養菌体が得られるという。なお、培地のpHについては5.0前後が最適であるとの報告 がある。菌株の系統いかんによっては、無菌栽培したアカマツの苗の根に純粋培養したハツタケを接種することにより、感染苗を作出することが可能であり、場合によっては子実体原基(ごく幼く、かさや柄・ひだなどが未分化な状態にあるつぼみ)が形成されることもある。ただし、原基の形成条件の詳細については不明な点が大きく、確実にこれを誘導する技術は未完成である。さらに、原基が形成された場合であっても、現時点では、それらが完全な子実体として生育をまっとうするまでに至った例はなく、実用化にはさらに検討を行う必要がある。
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