格付情報の利用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 03:34 UTC 版)
前述のとおり、格付とは企業(発行体)および、債券の信用リスクをあらわしたものである。信用リスクは、格付機関により、累積デフォルト率などの形で公表されている。機関投資家などは、ポートフォリオを組む際に、この情報を参考データとして活用している。 公表されている各種デフォルト率は、過去の実績を統計として表しているものであり、将来的に期待するべきデフォルト率を示しているものではない。この累積デフォルト率とは、過去にB格を付与された発行体の累積デフォルト率が、3年後に10%であった場合は、観測開始日にB格を付与された発行体のうち、観測開始日から3年以内に10%がデフォルトしたという意味。これはあくまでも統計データであるため、集計対象となる発行体、標本数、および観測開始日、観測期間などによって算出される累積デフォルト率も影響される。 従って、今日、B格の債券のみ100銘柄で組んだポートフォリオのうち、今後3年以内に10%(10銘柄)がデフォルトすると推測するものではないことに注意を払う必要がある。 それは、組まれたポートフォリオの性質や今後の事業環境が、デフォルト統計の基となったものと異なる蓋然性が高いため。 更に、格付け機関各社のデフォルト実績を比較する際には、統計データ算出方法が統一されていない点を留意する必要がある。 また、格付とはあくまでも、信用リスクをあらわしたものであるので、高い格付けを付与された企業が、社会的評価が高いなどといった判断は誤っている。いまだに、マスコミ等の報道では格付の意味を取り違えているものが見受けられるので、十分に注意して取り扱う必要がある。
※この「格付情報の利用」の解説は、「信用格付け」の解説の一部です。
「格付情報の利用」を含む「信用格付け」の記事については、「信用格付け」の概要を参照ください。
- 格付情報の利用のページへのリンク