条約締結の理由
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/23 06:23 UTC 版)
マゴもディオニュシオスもクリサス川で身動きがとれなくなってはいたが、それでも講和を行わず戦争を継続することはできた。しかしながら、以下のような理由から講和に至ったと思われる。 有利な結果が得られるまで戦いを継続した後の共和政ローマとは異なり、カルタゴはその商業活動が損なわれない限り、交渉を行いその条約を遵守する意思を持っていた。実際、第一次ヒメラの戦い以降70年間、カルタゴは条約を遵守してシケリアに介入しなかった。(逆に第三次ポエニ戦争の原因は、ローマがカルタゴの商業活動を阻害するような要求をカルタゴに突きつけたことである) ディオニュシオスは紀元前396年以来獲得した領土を確保できた。したがってそれ以上戦争を続ける理由はほとんどなかった。 ディオニュシオスには資金が不足しており、傭兵の多くを解雇せざるを得なかった。カルタゴも傭兵に依存してはいたが、その資産はディオニュシオスより豊かであり、カルタゴと長期戦を戦うことは難しかった。 カルタゴと講和することにより、より容易な標的(イタリアのギリシア都市)に戦力を集中できる(18-19世紀の歴史学者にはディオニュシオスはギリシア文明を守るための十字軍として戦ったと評価するものもいるが、それは間違いである)。
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