未消化物の吸収と食物アレルギー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/17 10:12 UTC 版)
「食物アレルギー」の記事における「未消化物の吸収と食物アレルギー」の解説
消化管の上皮層にはバリア機能があるため分子量500程度までの物質を通すとされている。しかし食物アレルギーの原因となる、主にタンパク質である未消化のアレルゲンの分子量は5,000から10万となる。実際にはそうした分子量の多い物質も少量は吸収されている。正常なラットでFITC-デキストラン(FD-10、分子量9.4万)や卵白アレルゲンのリゾチーム(分子量1.4万)や卵白アルブミン(分子量4.5万)の少量は血中に移行している。 人間では、食べた卵の卵白アルブミンと牛乳のβ-ラクトグロブリン(分子量1.7万)の血中への移行について、健康な成人では卵白アルブミンが、健康な子どもでは両方とも血中への移行が確認された。卵白アルブミンでは大人8人・子ども5人の全員、子どもでのβ-ラクトグロブリンは5人中2人で移行している。 アスピリン(を含む非ステロイド性抗炎症薬)は副作用として胃腸の不調を起こすことがあり、健康なヒトで小麦と薬のアスピリンとを一緒に服用した場合、小麦のアレルゲン(分子量は数万のグリアジン)の血中濃度が増加した。 胃腸薬としての制酸薬の使用は、胃酸中の消化酵素による消化能力を損なわせてタンパク質の消化を妨げることで、食物アレルギーのリスクを高めたり、より少量の摂取で症状を発症させる。胃酸を抑制するヒスタミンH2受容体拮抗薬やプロトンポンプ阻害薬の消化性潰瘍治療薬を3か月服用したところ、10%の人で牛乳、人参、リンゴ、オレンジ小麦などに対するIgE抗体(アレルギー反応の参考になる指標)が増加していた。
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