乾漆造
木心乾漆造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/15 02:26 UTC 版)
像の概形を木彫で作り、この上に麻布を貼り、抹香漆または木屎漆を盛り上げて完成させる像である。脱活乾漆像が中空の像であるのに対し、木心乾漆像の像内には木心が残ったままであり、麻布もさほど厚くは貼らない。平安時代前期の仏像の中には、木彫り像の一部に木心乾漆技法を併用して表情、装身具などの細部を形作っている例も多く、「木造」か「木心乾漆造」か、機械的に分けるのが困難な場合もある。脱活乾漆像には乾燥すると収縮し像が痩せる特徴があり、対して木心乾漆造像は痩せが少ないため、ふくよかな像に適していたと考えられる。 木心乾漆造像は原型となる木心の組み方・構造によって以下のように分類される。 木骨木心乾漆造像 脱活乾漆像の麻布に当たる部分を、薄く削った木彫に替えたもの。 木寄せ式木心乾漆造像 木骨木心像の木彫部分を厚めにして強度を持たせ、内部の木心を取り除いたもの。 一木彫木心乾漆造像 木心の部分を一木から削りだしたもの。重量軽減やひび割れ防止のために内刳りを施す例が多い。前の2つの方法は上に塗った漆に木心は隠される前提で作られるが、一木彫像は木像に近く、細部もある程度掘り出され塗られる漆の厚みも薄い。 木体木心乾漆造像 一木彫式を寄せ木で簡便に作ったもの。後世の寄木造ほど組み方に厳密な規則性はない。
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