有権者層の拡大
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/16 20:23 UTC 版)
1832年改革法によりイングランドおよびウェールズの有権者層が拡大した。カウンティ選挙区では40シリング自由保有権(英語版)のほか、謄本保有(英語版)により10ポンド以上の価値がある土地を所有する者、60年以上の長期借地契約で10ポンド以上の価値がある土地を租借している者、20年から60年の中期借地契約で50ポンド以上の価値がある土地を租借している者、年50ポンド以上の地代を支払っている任意借地農業者(英語版)(tenants-at-will)に選挙権が与えられた。一方、バラ選挙区では毎年10ポンド以上の収入が得られる財産を有する男性世帯主に選挙権が与えられた。これによりバラ選挙区の投票権資格規定が統一されたが、それまでの規定により投票権を有した人物は当該バラに居住する限り、一代限りで投票権を維持した。自由市民(freeman)に投票権を与えたバラ選挙区では当該バラに居住し、かつ出生または見習い(apprenticeship)により自由市民権を取得している人物に限り、以降も自由市民に選挙権を与えた。 1832年改革法では各教会区と町別の民生委員(英語版)が管理する投票人登録(英語版)の制度を導入しており、また投票権に関する紛争の裁判については特別裁判所を設立した。さらに選挙区ごとに複数の投票所を設けることを許可し、投票日数を(それまで最大40日間だったのを)最大2日間に制限した。 1832年改革法自体はスコットランドとアイルランドの選挙区に影響しなかったが、同年のスコットランド改革法とアイルランド改革法により同種の変更がなされた。議席数ではスコットランドが8増、アイルランドが5増になり、イングランドの17減とウェールズの4増と合わせて議員数の合計が変更なしとなった。スコットランドとアイルランドでは選挙区の廃止はなかったが、投票権資格規定が統一され、有権者数も増えた。
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