暗刻スジ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 03:36 UTC 版)
暗刻スジ(あんこすじ)とは、自分が暗刻で持っている牌のスジのことである。自分が3枚あるいはそれ以上の枚数を固めて持っていることで、そのスジを受け入れる形を持っている他家はそのスジが最後まで引けず、結果としてそのスジが待ちになっている可能性が高い、という理屈で危険とされる。 (例)暗刻スジが危険に見えるケース 東家 ドラ表示牌 東家の捨て牌 西家 ツモ 東家の捨て牌を見ると、序盤に切られたとでドラまたぎの間四ケンができている。のスジは自分が5枚殺しており、ドラ表示牌にも1枚あるから、残りは2枚である。したがってを一枚はずして雀頭にするという選択肢は取りづらい。は4枚殺しているが、宣言牌のまたぎでの裏スジでもあり、やはり切りづらい。かといって切りの単騎に受けるのはあまりにも分が悪い。いずれにせよ広いテンパイに受けるならどの牌も切りづらい。しかし、片方が当たるなら当然もう片方は当たらない。そしてこれは重要なことだが、両方とも当たらない場合もまた多いのである。 たしかに親の手牌が下のような一向聴だったとしたら、とのどちらかが当たりになる。 東家 ツモ 東家の捨て牌 しかし、下のような牌姿になっている可能性とて決して低くはない。下のいずれの牌姿であれ捨て牌は上のようになる。 東家 ツモ 切りリーチで待ち。は入り目かつ当たり目になりえたが、結果的にはもも当たらない。 東家 ツモ 嵌七筒の一盃口ドラ3でヤミテンに構えていたところを引いて手変わり、切りリーチでのエントツ形かつスジ引っかけの待ち。もも当たらない。 東家 ツモ ドラ面子はとうに完成していて、萬子の三面張と筒子の両面で完全一向聴に構えていたところ引きでテンパイ。切りリーチで待ちはという形。やはりもも当たらない。 以上のように、暗刻スジは危なくないとは言わないが、その危険度はそれほど高いわけではない。自分が殺している暗刻スジとは無関係なところで他家が搭子を構えていることも多い(むしろそっちのほうが多い)からである。仮に自分の殺している暗刻スジが他家の受け入れになっていたとしても、そもそも1つのスジは全部で8枚ある。8枚のうち3枚程度を殺したところで、他家は残り5枚あるうちの1枚さえ引ければよいのだから、暗刻スジを相手の当たり牌だと決めつけるのは短絡的すぎる。むしろ、暗刻を持っているなら、その牌の4枚目が誰の手の内にあるのかということを読むほうがよほど有効である。 また、プロ雀士の堀内正人は2013年4月発行の著書の中で、「単なる無スジと暗刻スジの無スジを比較した場合、暗刻スジの無スジのほうが安全である」と述べている。例えば自分の手の内に とあって、が場に1枚見えている場合、の筋は5枚見えている暗刻スジである。相手からヒントに乏しいリーチが掛かったとして、暗刻スジのと無スジののどちらが安全か比較する。このとき相手のリーチは、が4枚見えているため、 (ノベタン) (単純3面張) (エントツ3面張) といった形でのリーチである可能性はゼロである。無論の単純リャンメンは大いにありうるし、エントツ形に関してはという逆の形がありうるが、ノベタンと単純3面張の形はありえない。これに対しのほうは、単純リャンメンをはじめノベタンや単純3面張やエントツ形など、より多くの形がありうる。つまり「待ちになるパターン」がより多いのほうが危険であり、のほうが安全であると言える、という論理である。堀内はこのことを「これまでの常識を覆す新セオリー」と述べている。ただしこれはあくまで理論的な話であり、堀内も同所で「ケースバイケースで対応すべき」と締めくくっている。
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