映画のスチル写真
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 05:17 UTC 版)
映画制作の用語でのスチル写真とは映画の宣伝や広報の素材として用いられる写真である。通常は映画の撮影フィルムのフレーム(一コマ)を引き伸ばしたものではなく、上映用のコマとは別にシーンの撮影終了時または同時並行で専門のスタッフが撮影を行う。この場合、映画のスタッフクレジットは「スチル」「スチール」と表記され、スタッフの呼称はスチルカメラマンである。 映画製作において、この写真が作品の製作に直接関与することはない。もっぱら宣伝用として、ポスター、雑誌、新聞などのメディアで使用するものである。また、初期のスチル写真は撮影所で組織化された専属スタッフやカメラマン、もしくは撮影所近辺の写真館の撮影技師らが撮影していた。これらの写真は配給会社を通して映画館や出版社に配られ、宣伝材料として用いられた。 デジタルミラーレスカメラの登場以前はスチルカメラマンの使用機材は一眼レフカメラが定番だった為に水中ブリンプやプラスチックハードケース等を改造した防音ケースに入れたカメラを用いるか、望遠レンズを用いることで同時録音の妨げにならないように撮影する技術が求められた。騒音にシビアな場合、リハーサル中に撮影したり、本番後に役者に本番時と同じポーズを取らせて撮影するなどする。(前述のように)映画自身の撮影フィルムから抜き出すことで、本番中の撮影を避ける事もあった。2020年代ではデジタルミラーレスカメラが主流になりつつありシャッター音などがほとんどならない為に防音ケースの使用者は見られなくなっている。またスチル写真用に撮影風景を再現して撮影することもあ。 映画館にこれらのスチル写真を配るということは減ってきているが、雑誌などでのタイアップなど宣伝材料としての活躍の場は多い。劇場で配布・販売されるパンフレット類はもちろんであるが、公開に合わせて写真集などの関連書籍を作ることが多くなってきており、写真家に依頼することも増えてきている。
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