旧注の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/09 05:51 UTC 版)
古注の時代には巣守・桜人などしばしば現行の54帖に含まれない巻への言及が見られたが、この旧注の時代になると注釈の対象としている『源氏物語』が、確定した範囲と巻序を持つ現在と同じ54帖から構成される『源氏物語』になる。 古注の時代には鎌倉を中心に活動した河内方が中心であったのに代わり、京都を中心に活動した三条西実隆、三条西実枝ら三条西家が中心となる。 注釈書が対象としている『源氏物語』を読み、論じる人物は古注の時代には公家と上級の武士に限られていたのが、この時代になると『源氏物語』そのものとその注釈が「地下の人々」と呼ばれる層を含む以前より広い層の人々に読まれるようになる。 「秘伝」・「秘説」というものが盛行する。一般に流布する注釈書には「別に記す」・「特に記さず」などとして内容を明記せず、秘伝書のような形のものを別に記したり文書の形では何も残さず口伝で伝えるということがしばしば行われるようになる。 歌作(特に連歌)に役立つことを強く意識して作られたという性格を持ったものが多く、注釈書の著者に連歌師が多い。 多くの注釈書が作られており、それぞれがそれ以前の注釈を受ける形で書かれているため大部の注釈書が多い。花屋玉栄は「何の不審もないことまで注釈を加えている」と批判し、本居宣長は「多くの抄物(注釈書のこと)があり、少しずつ違いはあるものの大きな違いはない」と述べている。 大部な注釈書がいくつも作られる一方で、コンパクトな梗概書もさまざまなものが作られている。
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