旧法時の映画の著作物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/18 12:27 UTC 版)
「映画の著作物」の記事における「旧法時の映画の著作物」の解説
旧著作権法(明治32年法律第39号)では、独創性を有する映画の著作物の保護期間について、著作者の死後38年(ただし、団体名義のものについては発行又は興業から33年)を経過することによって著作権が消滅すると定めていた(旧法22条ノ3、52条)。現行著作権法は、旧法と比較して一般的に著作権の保護期間を長くしているものの、個人名義の映画の著作物の場合、保護期間の起算点が死亡時から公表時に変更されたため、著作者が公表後13年以上生存した場合(現行著作権法制定時の保護期間は、公表から70年ではなく50年であったため)、新法によるほうが保護期間が短くなる結果となる。このような事態を避けるため、現行著作権法の施行前に公表された著作物の著作権の存続期間は、旧著作権法による存続期間のほうが長い場合は、旧著作権法による存続期間による旨の規定が置かれている(著作権法附則7条)。 その結果、例えば、個人名義の独創性ある映画の著作物が1953年(ただし著作者の生前である場合)に公表され、著作者が1998年に死亡した場合を例にすると、旧法を適用して1998年の翌年から起算して38年(2036年12月31日)著作権が存続するとしたほうが保護期間が長くなる。その結果、現行著作権法54条による公表後70年という規定は適用されないことになる。 実際に旧著作権法下で発表された、黒澤明(1998年死去)やチャールズ・チャップリン(1977年死去)が1953年以前に発表した監督作品について著作権の存続期間を争った裁判では、黒澤作品については2036年まで、チャップリン作品については2015年までそれぞれ著作権保護期間が継続するという最高裁の判決が出ている(ただし『殺人狂時代』と『ライムライト』については、現行法の方が保護期間が長くなるため、判決でもそちらを採用している)。
※この「旧法時の映画の著作物」の解説は、「映画の著作物」の解説の一部です。
「旧法時の映画の著作物」を含む「映画の著作物」の記事については、「映画の著作物」の概要を参照ください。
- 旧法時の映画の著作物のページへのリンク