日本語の訳語の問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/28 08:13 UTC 版)
英語の「prophet」に対応している現在の日本語は「預言者」である。これは漢訳聖書の訳語に由来する。清代には西洋の宣教師らによって複数の漢訳聖書が作られた。18世紀初頭のジャン・バセ訳『四史攸編』や1813年のロバート・モリソン訳『新遺詔書』では「先見」の訳があてられたが、19世紀半ばには「預言者」の語をあてるものもあったようで、1860年代初めに日本人向けに作成されたヘボン訳『新約聖書』(四福音書のみ)では後者に基づいて「預言者」が採用された。 「日本語訳聖書#ヘボンによる聖書和訳事業」も参照 @media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}ただし「預」は「豫」(「予」の旧字体)の俗字であり、中国語では「預(あらかじ)め語る者」の意味でしかない。一方、日本では「預」に「預かる」という本来の用法にはなかった意味が加わっていたことから、漢語としての由来を知らぬ者が「プロフェーテース」の原義に引きずられ、神の言葉を「預かる」者が「預言者」、未来や人の運勢などを予め語る者を「予言者」と理解した。[要出典] 本来は「副詞+動詞」という構造であった「預言」という語を、みだりに動賓構造(動詞+目的語)に置き換えることは明らかな誤りであるとしてこれを問題視する見解もあるが、他方で上記のような誤用の経緯をきちんと踏まえた上で、「神の代弁者」と「未来を語る者」とを区別する便宜的な訳し分けとして存続してもよいとする専門家もいる。 この区別を踏まえて、ある予言者(例えばノストラダムス)は神の言葉(預言)を聞いた、と解釈する場合に、その予言者を「預言者」と呼ぶことがある。[要出典]
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