日本版ESOP創設への動き
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/23 00:50 UTC 版)
「ESOP」の記事における「日本版ESOP創設への動き」の解説
日本版ESOP創設への動きとして、2001年に経済同友会社会保障改革委員会による政策提言の一項目として、米国型ESOP制度の導入が謳われている。 日本で最初に導入されたESOPは、2005年に三洋電機が設立した基金型ESOPであるといわれている。みずほフィナンシャルグループが開発した日本版ESOPの採用は、2009年のダイドーリミテッドが最初である。 旧来より存在する従業員持株会制度と名称が似ていること、ESOPについての研究が殆どされていないなどの理由から、理解に混乱が見られ、会社が信託を用いて自社株式を先行取得し、事後的に従業員持株会に売却するスキームを日本版ESOPと称している記事等が散見される。このような理解の混乱は、「従業員株式所有制度」という訳語が、会社従業員が自社の株式を所有するための制度全般を指すように捉えられるための誤った解釈から生じるものと思われるが、ESOPの厳格な定義と本来の目的と思想的な背景を理解すれば、このような解釈にたどり着くことはないといえる。 また、日本では敵対的買収の脅威が喧伝される一時のブームが起き、これに対抗する方法として、従業員が売れないようにして株式を持たせてしまえば、会社経営者の保身を目的とする買収防衛スキームや安定株主対策として機能すると考える向きもあるが、このような考え方はESOPの本質から完全に逸脱しており、株式報酬制度そのものの継続、ESOP信託によって株式保有を継続するかどうかの判断は、経営者側にではなく完全に従業員に委ねられている必要があるということを理解していないための誤解であるといえる。 実際の導入事例をみてみると、米国ESOPと同様効果をもつ退職給付型の日本版ESOP制度としては、先に挙げた三洋電機による基金型ESOPの導入が本邦初の事例と考えられ、以下、ダイドーリミテッド、川崎地質、中道リース、エン・ジャパン、ピーシーデポコーポレーション、橋本総業、ウェルネット、デンヨー、西松屋、アイダエンジニアリング、第一生命保険といった会社が導入もしくは導入を決定している。(2010年10月現在)また、従業員の経営参加ではなく自社株式の退職給付のみに特化した擬似的なスキームとしては、三菱UFJ信託銀行が開発したストック・リタイアメント・トラストがあり、これは日本駐車場開発、バルスといった会社が導入している。
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