日本国内法
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平成17年の最高裁の決定では、別居中の非監護親による同居親の監護下からの子の連れ去りが未成年者略取誘拐罪(刑法224条)に該当するとしている。本事例では、「母の監護下にある2歳の子を有形力を用いて連れ去った略取行為は、別居中の共同親権者である父が行ったとしても、監護養育上それが現に必要とされるような特段の事情が認められず、行為態様が粗暴で強引なものであるなど判示の事情の下では、違法性が阻却されるものではない。」と判断された。 また、法務大臣や法務省刑事局長、離婚後単独親権違憲訴訟 での東京高裁の判決なども、子の連れ去りが未成年者略取誘拐罪を構成する場合があると認めている。 2022年2月3日には「正当な理由のない子どもの連れ去りは未成年者略取誘拐罪にあたる。これを現場に徹底する。」と警察庁が明言したことが 共同養育支援議員連盟 の柴山昌彦会長・衆議院議員により明らかにされた。 なお、刑法224条は親告罪だが誘拐は継続犯である。告訴期限は連れ去り日が起算日ではなく、被拐取者が解放されてから6ヶ月になる。「刑訴法235条1項にいう『犯人を知つた日』とは、犯罪行為終了後の日を指すものであり、告訴権者が犯罪の継続中に犯人を知つたとしても、その日を親告罪における告訴の起算日とすることはできない。」 さらに、離婚後単独親権違憲訴訟の高裁判決では「親が子を養育する関係は、親にとっても、子にとっても人格的な利益であり、親が離婚しても、その人格的な利益は失われるものではない。」と判示している。すなわち、子の連れ去りは親子双方の人格的利益の侵害であり、それによって当然に精神的苦痛を与え続けられた親または子がうつ病に追い込まれれば、傷害罪(刑法204条)に該当し得る。 民事上も、子の連れ去りは他方親の監護権(民法820条)と居所指定権(民法821条)の侵害であり、さらに協力義務(民法752条)違反になる。法務省民事局長は、協力義務(民法752条)は別居中の夫婦の子育てにも適用されうると認めている。他方親の同意の無い転校や幼稚園や保育園の入退園は、親権の共同行使(民法818条3項)違反になる。
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