日本の写本
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 09:12 UTC 版)
日本においても古文書や記録資料、編纂資料などは多くが写本として伝来し、原本のほか写本が存在するものや、原本が伝存せず作成時期の異なる複数の写本が伝存しているケースなど、さまざまなものがある。なお、写本の作成に際して用いられた原本を「底本」と呼び、底本は必ずしも成立当初の原本ではなく写本であることも多い。 また、写本には作成者や年紀、作成意図などを記した奥書や印判などが付されている場合も多く、これらも歴史資料として重視される。 記録・編纂資料などにおいて製作時期や場所の異なる複数の写本を相互に検討し異動を確認することを校合といい、さらに資料の形態や料紙・状態、筆跡や言語的特徴など諸要素を含めて資料の系統的関係を検討し、成立時期の新旧や、より原本に近く忠実な写本(最善本)を特定し研究などにおいて活用される。 また、一例として中世に和歌による鎮魂を意図する呪術的意味合いで作成された職人歌合が、近世期に伝存する写本においては純粋な学芸的関心から詳細な補注が施された写本が作成されるなど、各資料の異動部分には時代的特徴や作成の意図が反映されていることがあり、写本を相互に校合することで検討することができる。 また、文書においては発給時期に控えとして作成、あるいは後代に伝存させるために写本が作成されることがある。 法華義疏 御物。日本最古の写本と言われる。三経義疏の一つで法華経に注釈を加えた書。推敲の跡が見られるため写本ではなく聖徳太子の真筆だという説が学会では一般的であるが、伝来履歴や仏教用語の単純な写し間違いが見られるため写本だとする意見も唱えられている。
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