新生駒トンネルの建設案
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/22 06:25 UTC 版)
「生駒トンネル」の記事における「新生駒トンネルの建設案」の解説
断面が狭小で大型車両を運行できない旧生駒トンネルは奈良線の輸送力増強の支障となっていたため、大型車両を通すための方策が検討された。 まず、在来トンネルの拡築案として、在来トンネルを夜間列車運転休止時間中に拡築するものと、在来トンネルを単線用として使用し新たに単線トンネルを建設するものの2案が検討された。前者については、列車運行に対する危険性や長期間の工期、大阪坑口付近にある急曲線の改良ができない点などから実施不可能とされた。後者については、在来トンネルを単線に使用するためには約15cmの盤下げ工事が必要なこと、建設費が複線新トンネルに比べて割高なこと、大阪坑口の急曲線改良ができないことなどから、複線新トンネルの建設方針が固まった。 次に、新トンネルの路線として以下の4つの案が検討された。 石切駅から孔舎衛坂駅北側を通り近畿日本生駒駅(1964年10月1日に生駒駅に改称)に至る路線(トンネル延長3,820m) 石切駅から孔舎衛坂駅南側を通り、近畿日本生駒駅大阪方で現在線に接続する路線(トンネル延長3,388m) 瓢箪山駅と近畿日本生駒駅をほぼ直線に結ぶ路線(トンネル延長5,530m) 瓢箪山駅から南生駒を経て富雄駅大阪方で現在線に接続する路線(トンネル延長4,990m) 第1案は工期、工費、用地買収の面で第2案に劣り、第4案が奈良線の重要駅であり生駒鋼索線との連絡駅でもある近畿日本生駒駅が外れる点で実現の可能性が薄いことから、第2案、第3案が主に論議の的となった。第2案は、工期、工費、用地買収、トンネル工事の容易さで優れており、第3案は奈良線本線の線形、運転面で優れていた。この2案を比較検討した結果、第3案は瓢箪山 - 近畿日本生駒間に残る在来線が大型車の通れない支線となり運転面の障害となることと、乗車率が300%に達すると推定される1965年初頭までに完成させることは、トンネルの工期の点で無理であると考えられたため、最終的に第2案が採用された。
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