新株予約権の沿革
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 15:11 UTC 版)
新株予約権の沿革は1938年(昭和13年)の商法改正で導入された転換社債(のちの転換社債型新株予約権付社債)の転換権に始まる。 1981年(昭和56年)には権利を行使しても社債権は消滅しない新株引受権附社債(新株引受権付社債)が追加された。これはいわゆるワラント債であり、社債と分離して流通させることができない非分離型と社債と分離して流通させることができる分離型があった。 1997年(平成9年)には議員立法によりストックオプションとして取締役や使用人にインセンティブ報酬の権利(新株引受権)を付与することを認める制度が導入された。ストックオプションとしての権利付与には、権利行使時に会社が保有している自己株式を交付する方式(自己株式方式)と新株を交付する方式(株式引受権方式)があった。 このように従来の新株引受権は転換社債や新株引受権付社債として社債とともに発行される場合と取締役・使用人に対するインセンティブ報酬として付与される場合が想定されていたが、2001年(平成13年)の商法改正でこのような従来の制限をなくした「新株予約権」の制度が導入された(2002年4月から施行)。これにより従来の転換社債の転換請求権、ワラント債の新株引受権、ストックオプションはまとめて「新株予約権」として再構成されることとなった。 新株予約権は新株発行とは関係なく一定の条件で株式を取得できる権利とされた。従来の「新株引受権」の語は、「新株発行の際に優先的に新株を引き受ける権利」と「会社に対して行使することにより有償で新株又は自己株式の交付を受けられる権利」の、両方の意味を持っていた。そのため、平成13年商法改正時に、この概念を分離し、前者を新株引受権、後者を新株予約権と定義した。 新株予約権は社債と組み合わせることなく単独で発行することができることとされた。従来の転換社債と非分離型ワラント債は「新株予約権付社債」として一本化された。また、分離型ワラント債については社債と新株予約権の同時発行として構成し新株予約権付社債の概念からは除外された。 新株予約権方式のストックオプション平成9年当初のストックオプション制度は、自己株式方式と株式引受権方式とがあったが、新株引受権が定款規定が必要であったり、導入に付き、株主総会で正当な理由があることを述べなければならなかったりと、導入の障害になる規定が多かった。そこで、平成13年商法改正で、新株予約権に組み込み(新株予約権方式)、ストックオプションとは、株主以外の者への新株予約権の無償での有利発行である、と整理して、自己株式方式と株式引受権方式によるストックオプションの規定を削除した。 2005年(平成17年)に成立した会社法では第2編第3章に新株予約権の規定が整備された。
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