新型コロナウイルス感染症対策と憲法改正論議
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 00:11 UTC 版)
「憲法改正論議」の記事における「新型コロナウイルス感染症対策と憲法改正論議」の解説
2020年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に際して政府は、2020年4月に改正・新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき初の緊急事態宣言を発令したが、諸外国のような行動制限を制定し、違反者に刑罰を与えるロックダウン(都市封鎖)は実施されず、「外出自粛要請(お願い)」という、罰則や強制力がない形となった。これに対して、感染拡大が深刻化した翌2021年8月には、全国知事会からも、ロックダウンの法整備やロックダウンのような方策の検討を政府に対して要求するなど、政府のコロナ対策に対する不満が巻き起こるようになった。 この現状に対して、現行憲法に国家緊急権の規定が存在しないために、諸外国のような強制力を伴う措置が取れないという見方から、これを解消して実効性のあるものにするために、国家緊急権の規定を日本国憲法に追加してロックダウンができるように憲法を改正するべきという議論が与党議員や保守派の国民から挙がってきている。 一方で、憲法の専門家である曽我部真裕・京都大教授は、緊急事態対応のために改憲する必要があるのは、典型的には憲法が定める原則を一時的に変更すること(国会が法律で定めるべき内容を内閣が政令で定められるようにしたり、基本的人権の一部を停止したりすることなど)を認める場合であり、いまのウイルス対策で想定されているのはこのような措置ではないことから、改憲を主張するのは筋違いであるとした上で、法改正すれば都市封鎖(ロックダウン)ができるのかについては、封鎖に伴う人権制約が憲法に反しないかどうかが問題となるが、直ちに違憲とはならないと考えるべきであり、人権制限の程度や制限が限度を超えないための歯止め等がポイントになるとしている。
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