数詞と文法上の数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/30 01:33 UTC 版)
エヴェレットはかつて、「1(hói)」と「2(hoí)」は、ただ声調によって区別されるのみであるとしていたが、その後の論文では、ピダハン語には数の語彙が全く無いとしている。 フランクらの報告には、4人のピダハン語話者に行った二つの実験が記されている。最初の実験は、10個のバッテリーを一つのテーブルに一つずつ置いてゆき、ピダハン語話者に何個あるか尋ねるというものである。この言語に「1」と「2」に相当する語があるという仮説の通りに、4人の話者はみな一様に、1個のバッテリーには「hói」、2個には「hoí」を使い、それ以上には「hoí」と「たくさん」を混ぜた語を使った。次の実験は、最初に10個のバッテリーをテーブルに置き、今度は一つずつ減らしてゆくというものであった。バッテリーが6個になった時、ひとりの話者は(「1」であると考えられていた語である)「hói」を使い、バッテリーが3個になると、4人全員が一様に「hói」を使った。フランクらは、二つの実験における彼らの行動上の差異についての解釈は試みていないが、この二つの語に関しては「『1』のような絶対的な語であるというよりは、『少し(英: few)』『より少し(英: fewer)』というような相対的・比較的な語である可能性の方が遥かに高い」と結論している。文法上では、単数・複数の違いがなく、これは代名詞においてさえも見られない。 この地に学校が開校してからは、ポルトガル語と数学が教えられているため、このようなピダハン族の数概念に関する文化は失われることになった。
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