数珠師与一郎とその家族
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/10 07:00 UTC 版)
与一郎(よいちろう) 四谷の数珠師。糸が切れてしまった数珠を修理してもらうため、正縁が訪れた。50歳前後。正真や正念が懇意にしている仏具屋も認める腕を持つばかりか、仏の教えにも深い理解を持っていると正縁は感じた。 20数年前まではある藩の藩士だったが、謀反を疑われた妻香弥の父を藩命によって斬ってしまう。香弥は一切恨み言を言わなかったが、義父の葬儀の後に自刃した。そこで士分を捨てて母富路と共に暮らしてきた。 文化3年の大火の後、記憶を失って行き倒れていたてまりを救う。認知症を患った富路がてまりを香弥と間違え、てまりも富路の世話を買って出てくれたため、そのまま同居することになった。 青泉寺で記憶を取り戻して倒れたてまりを引き取りに来た際、最後まで彼女を背負って帰れなかったことを恥じ、てまりを後添いに迎える気はないのかと迫る正縁に、年老いた自分には最後までてまりを守る気力も自信もないと答える。 富路の臨終に際して、自分が義父を斬ったことを正縁とてまりに告白した。そして、通夜の間中、正念に身の上話を聞いてもらった。そして、与一郎と共に生きることを決意したてまりと共に家に戻っていった。 富路(とみじ) 与一郎の母。認知症が進み、てまりを死んだ嫁、香弥だと思い込んでいて、すっかりてまりに頼り切っている。記憶を取り戻したてまりが過去を告白した際も、話が理解できず、出て行こうとするてまりを必死で止めた。 持病の心臓病が悪化して亡くなる直前、香弥に対する謝罪の言葉を並べる。てまりが香弥の代わりに手を頬ずりして許しを与えると、安心して息を引き取った。通夜と湯灌、火葬は青泉寺で行なわれた。 香弥(かや) 与一郎の妻。20数年前、夫が父を藩命によって斬った後、一切恨み言を言わずに自刃した。
※この「数珠師与一郎とその家族」の解説は、「出世花」の解説の一部です。
「数珠師与一郎とその家族」を含む「出世花」の記事については、「出世花」の概要を参照ください。
- 数珠師与一郎とその家族のページへのリンク