教理と奉神礼の関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/01/09 21:15 UTC 版)
長司祭ゲオルギイ・フロロフスキイは「ハリストス教(キリスト教のギリシャ語転写)とは聖体礼儀の宗教である。また教会とは第一に奉神礼を行う集りである。奉神礼を第一とし、教えと要理を第二とする。」と述べている。しかしパーヴェル・フロレンスキイは、「真の正教教理学は奉神礼の教理上の考えを系統化したものでなければならない」との見解を示している。このように、正教会において奉神礼と教理とは密接な繋がりがあるものと捉えられている。 また、教理は奉神礼において正教徒の祈りの体験の一部となって実感されるものとなるとされる。聖イグナティイ・ブリャンチャニノフは「定期的に教会に通って、祈りと詠歌に真剣に耳を傾ける正教徒なら"信仰(の分野)に必要なもの"を全て修得できる」と述べている。正教会の祈祷文は教理についての伝統的理解が豊富に含まれるものとなっており、同時に美を放っているとされる。 正教会は10世紀から12世紀にかけてビザンティンで確立した奉神礼をそのまま保全しようと務めており(但し保全の仕方を巡っては17世紀にロシア正教会で古儀式派が分裂するといったケースもあった)、その事によって正教教理の普遍性と安定性が守られるとされる。新しく列聖された聖人についての祈りが追加される事があっても、それは既存の奉神礼体系の中に組み込まれ、全体の基本的構成には変更は加えられない。
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