放出係数と吸収係数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/06 14:11 UTC 版)
「アインシュタイン係数」の記事における「放出係数と吸収係数」の解説
原子スペクトル線は、気体の放出および吸収の現象を指し、 n 2 {\displaystyle n_{2}} は線の高エネルギー状態の原子の密度、 n 1 {\displaystyle n_{1}} は線の低エネルギー状態の原子の密度である。 周波数νにおける原子線放射の放出は、エネルギー/(時間 × 体積 × 立体角)の単位で放出スペクトル ϵ {\displaystyle \epsilon } により表される。ε dt dV dΩ は体積要素 d V {\displaystyle dV} により時間 d t {\displaystyle dt} で立体角 d Ω {\displaystyle d\Omega } に放出されるエネルギーである。原子線放射の場合 ϵ = h ν 4 π n 2 A 21 , {\displaystyle \epsilon ={\frac {h\nu }{4\pi }}n_{2}A_{21},} である。ここで A 21 {\displaystyle A_{21}} は自然放出のアインシュタイン係数であり、2つの関連するエネルギー準位の関連する原子の固有の特性により決まる値である。 原子線放射の吸収は、1/長さの単位で吸収係数 κ {\displaystyle \kappa } により表される。式κ' dxは、距離dxを移動するときに周波数νの光ビームの吸収される強度の割合を示す。吸収係数は κ ′ = h ν 4 π ( n 1 B 12 − n 2 B 21 ) , {\displaystyle \kappa '={\frac {h\nu }{4\pi }}(n_{1}B_{12}-n_{2}B_{21}),} で与えられる。ここで B 12 {\displaystyle B_{12}} と B 21 {\displaystyle B_{21}} はそれぞれ光子吸収と誘導放出のアインシュタイン係数である。係数 A 21 {\displaystyle A_{21}} と同様に、これらも2つの関連するエネルギー準位の関連する原子の固有の特性により決まる。熱力学およびキルヒホッフの法則の適用のために、合計吸収はそれぞれ B 12 {\displaystyle B_{12}} と B 21 {\displaystyle B_{21}} により表される2つの成分の代数和として記述される必要がある。これらはそれぞれ正の吸収と負の吸収とみなすことができ、直接光子吸収と一般に誘導放出と呼ばれるものである。 上式は分光学的線の形状を無視している。正確にするためには、上式に(正規化された)スペクトル線の形状を掛け算する必要がある。このとき単位は1/Hzの項を含むように変えられる。 熱力学的平衡の条件の下では、数密度 n 2 {\displaystyle n_{2}} と n 1 {\displaystyle n_{1}} 、アインシュタイン係数、およびスペクトルエネルギー密度は吸収率と放出率を決定するのに十分な情報を提供する。
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