接触によるタイトル決定劇
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/01 07:42 UTC 版)
「1994年オーストラリアグランプリ」の記事における「接触によるタイトル決定劇」の解説
決勝当日のアデレードは薄曇りの天気ながらもドライコンディションでレースが行われた。 スタートではポールシッターのマンセルがホイールスピンにより出遅れ、シューマッハがトップに立つ。マンセルはさらに5位まで順位を落とし、シューマッハ、ヒル、ハッキネン、バリチェロ、マンセルの順でオープニングラップを終えた。シューマッハは得意の先行逃げ切りを図るが、ヒルも遅れることなく追走し、先頭の2台がファステストラップを出し合いながら3位以下を引き離す展開となった。マンセルは15周目にバリチェロ、21周目にハッキネンをかわし、6位のアレジまでが僅差の第2集団を形成する。その後、最初のタイヤ交換を遅らせたベルガーが4位に浮上し、シューマッハ、ヒル、マンセル、ベルガー、アレジ、ハッキネン、バリチェロの順となった。 シューマッハとヒルは18周目終わりに同時ピットインし、最初のタイヤ交換と燃料給油を終えて、同じ順位のままコースに復帰した。その後も両者の差は2秒以内で推移し、緊迫したマッチレースが続いた。 36周目、直角コーナーが連続するイーストテラスに差し掛かったシューマッハは、左コーナーでマシンを滑らせてコースオフ。ウォールに右タイヤをぶつけ、失速しながらよろよろとコースに復帰する。後方から追いついたヒルは好機を逃さず、続く右コーナーでインサイドを突いた。しかし、シューマッハも譲らず、アウト側からラインを被せた結果、コーナリング中に両者が接触。ヒルの左前輪に乗り上げたシューマッハのマシンは中に浮き上がり、そのままタイヤバリアに激突した。 シューマッハのリタイアによりヒルがこのレース初めてトップに立ち、5位(2ポイント)以上でフィニッシュすれば逆転チャンピオンを決められることになった。しかし、接触の影響から左フロントタイヤがパンクし、スロー走行のままピットイン。タイヤを交換したものの、左フロントサスペンションのアッパーアームが曲がっていたためピットでリタイアとなった。 両雄の相打ちにより、シューマッハのドライバーズタイトル初制覇が確定。リタイア後コースサイドに佇んでいたシューマッハは、緊張から解放され喜びを噛みしめた。一方、ピットでしばし呆然としていたヒルは、ウィリアムズのクルーや友人のジョージ・ハリスンに健闘を労われた。ベネトンは6周目にもう1台のハーバートもリタイアしていたため、コンストラクターズタイトルはウィリアムズに決定した。 シューマッハはコースアウトの際マシンにダメージを負っており、ヒルはもう少し待てばリスクを冒さずとも抜くことができた。しかし、その場面の前に2台の間隔がやや開いていたため、ヒルはシューマッハがウォールに接触する瞬間を目撃しておらず、とっさにパッシングを仕掛けたことが凶と出てしまった。片や、シューマッハは自分のアクションについて「ウォールにぶつかったときにステアリングがおかしくなった。でも、コーナーに来たところでマシンは突然ターンした。変な動きでね」と弁明した。
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