根絶、掃滅
WHOが設立して間もない1950年代、2つの感染症根絶計画;マラリア根絶計画と天然痘根絶計画がスタートした。「eradication programme」は日本語では根絶(または撲滅)計画とする。
感染症根絶の意味するものは患者発生をゼロにするだけでなく、病原体を自然界から無くしてしまう(封じ込めてしまう)作戦で、天然痘では達成に成功した。成功の要因として、ワクチンという絶対的な対策ツールが開発されていただけでなく、ヒト以外に感染動物主が存在しないこと、不顕性感染がなく感染者が容易に検出できる、などの条件があった。
これらの条件がそろわないと根絶は不可能であるため、現在ではプロジェクト名に根絶は用いないことが多い。メジナ虫症対策やポリオ対策では習慣的に根絶が使われている。
一方、eliminationとは特定の地域で感染症の伝播がなくなり、患者発生がみられない状況で、地域を限定した根絶である。eliminationでは他の地域から病原体を持ち込まれる危険が残り、その対策が必要である。
eradicationとeliminationは区別しなくてはならないが、eliminationを表す日本語はないため、「西太平洋地域からポリオが根絶された」などと誤用されることが多い。
テキスト国際保健医療学第2版(杏林書院)ではeliminationに「掃滅」の日本語を提案した。「コントロール」は感染症に対する介入活動することで、制御する・対策する・コントロールする、などの日本語をあてる。
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